1メートル
すれ違う、その直前。
そいつが、
ゆっくりと首だけを捻った。
やつの顔が見える。
私だった。
疲れ切った目。
シワの寄ったよれよれのスーツ。
毎日、毎日鏡を覗くと映る
紛れもない自分の顔。
次の瞬間、
私とそいつの距離がゼロになる。
視界が重なり、
世界が一瞬、静止した。
———
背後から、
凄まじい衝撃。
トラックが突っ込んできた。
⸻
私は理解した。
運転中に見ていた「後ろ向きの人間」は、
未来でも、幻でもない。
終電後も働き、心身ともに疲労してしまっていた私自身が、
死の瞬間へ向かって逆向きに歩いてきていただけだ。
距離が縮まるたび、
あちらの世界に近づき、
そして今、
完全に重なった。
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