帰りの車の中で、母が運転する音だけがやけに大きく響いていた。
母「……あんた、あそこに行きたいって思ってるの?」
信号待ちの時、母がぽつりと聞いてきた。
私「どこ?」
母「Z山よ。事故のこと、先生に説明するときも、やたら“トンネル”と“地蔵”の話してたって聞いたから」
私「……行きたくなんか、ないよ」
そう答えたものの、胸の奥では別の答えがじわじわと膨らんでいることを、私は自覚していた。
──本当は、知りたい。
あの時見たものが、どこまで“夢”だったのか。
魂喰地蔵は本当にあの山道にあるのか。
そして、あのラフな格好をしたカップルは一体何者だったのか。
病院で医者から聞いた、亡くなった男女の話。
私たちと正面衝突した対向車には、10代〜20代と思われる男女が乗っていて、その場で亡くなった。服装は、Tシャツに短パン、サンダル…。
──カップルと寸分違わない格好だ。
あの場所で、あの地蔵の前で、私を助けたと言っていた“あの二人”こそが、その対向車の男女なのだと私は確信している。
じゃあ、あの時、私はどこにいたのだろう?
現実には燃え上がる車の中で意識を失っていたはずだ。
なのに私は、旧Yトンネルの前でAと一緒にいた。
魂喰地蔵の前で足を奪われ、カップルに助けられ、そして崖から落ちる車の中で事故に遭った。
「一回目」と「二回目」の事故。
どちらが本物で、どちらが夢なのか。
あるいは、どちらも“同時に”起きていたのか。
考えれば考えるほど頭が混乱する。
⸻
ある夜、眠れなくてスマホを眺めていると、「Z山 廃神社 心霊スポット行ってみた」という動画サムネイルが何の脈絡もなくおすすめ欄の一番上に出てきた。
私(……Z山?)
心臓が、ドクンと跳ねた。
サムネイルには、夜の山道とどこか見覚えのある山の稜線のシルエットが写っている。
動画投稿者は聞いたこともないチャンネル名だ。
登録者も再生回数も少ない。
けれど、投稿日はつい最近の日付になっていた。

























伏線回収すごい
YouTuberおもろい