医者「あなたの両足ですが、複雑骨折していた上に大火傷を負っていました。可能な限り手を尽くしましたが、おそらく二度とご自身の足で歩くことは叶わないでしょう。本当に残念です。」
私「はい…。」
医者「大変お強いですね。多くの場合、皆さんこういう時は泣き叫んだりパニックになったりするのですが。」
私「何故だかこうなるような気がしていましたので、覚悟もできていました。」
医者「そうですか。あなたのようなケースも稀におります。中には脳にダメージを受けたことが原因だった患者さんもおられます。些細なことでも良いので、何か違和感があれば言ってください。」
私「わかりました…。」
医者「後、これもいずれ知ることになると思いますが、対向車に乗っていた10代〜20代と思われる男女もお亡くなりになりました。ぶつかった拍子にガードレールを突き破り、川に転落してしまったそうです。」
私「すみません。変なことを聞くようですが、もしかして、その男女は半袖に短パン、サンダルの格好をしていませんでしたか?」
医者「えっと…、そうですね。確かそんな格好をしていましたね。何故そのことを?」
私「私にもわかりません…。でもそんな気がしました。」
医者「そうですか…。まぁ何はともあれ、奇跡的に助かったのです。失ったものも非常に大きいです。今は体だけでなく心もゆっくりと休めてください。」
一通り医者が状況を説明し病室を出ていくと、事故に遭ったこと、Aがもういないこと、一生歩けないこと等、様々なことが急に現実味を帯びてくる。
大粒の涙が止めどなく溢れて、悪夢の終わりと過去との別れを優しく告げた。
── 後日談 ──
あの事故から、半年が経った。
私は今、一人暮らしをやめて実家に戻って、一階の和室で暮らしている。
段差が少なくて、車椅子でも動きやすいからだ。
膝から下は今もまだうっすらと黒いままになっている。
医者は「火傷の痕だ」と言ったけれど、私はどうしてもそう思えなかった。
あの夜、魂喰地蔵の前で見た、真っ黒に染まった自分の足と同じ色をしているからだ。
会社は事故からしばらくして退職した。
ブラック企業に戻る気力なんて残っていなかったし、そもそも通勤すらままならない。
両親は「命が助かっただけで十分だ」と言ってくれたけれど、仕事も彼氏も足も、一度に全部失ってしまった喪失感はそう簡単に埋まるものじゃなかった。
それでも時間は勝手に前へ進んでいく。
リハビリの合間にAの実家へ手を合わせに行った。
彼の両親は私を責めることなく、「あなたも辛いのに、来てくれてありがとうね」と何度も頭を下げてくれた。
その優しさがかえって苦しくて、言葉が詰まった。

























伏線回収すごい
YouTuberおもろい