コンビニのバイトが終わったのは日付が変わる少し前だった。
夏が終わりかけの夜で、昼間の熱がまだ地面に残っている。
田舎で街灯はほとんど無く、次の灯りまで暗闇を歩かされるので自然と歩調が早くなる。
住宅街を抜けるまで徒歩で15分ほど。
イヤホンは片耳だけ外して歩く。
何かあった時、すぐ気づけるように。
──近道のため路地裏に入る。
人の気配は全く無い。
明るい音楽に切り替えて怖さを誤魔化す。
しばらくして急に背中がむず痒くなった。
誰かに見られているような、理由のない感覚。
止まるとほんの少しだけ遅れて、後ろから靴音がずれて聞こえてくるような、そんな感覚。
足を止めて振り返る。
アスファルトの道。
弱々しく光る自動販売機。
街灯の下に伸びる、私の影だけ。
「……気のせい…だよね。」
自分に言い聞かせるように呟き、再び歩き出す。
数分後、また同じ感覚が背中をなぞった。
今度ははっきりと。
もう一度ゆっくりと振り返る。
数少ない街灯が照らす先。
そこに⸻
黒い影が立っていた。
人の形をしていて、大人くらいの背丈。
顔も服もわからない、輪郭だけの影。
街灯の光が当たっているはずなのに、そこだけが光を拒むように黒い。
声が、出なかった。
その場に立ち尽くす。
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