陰陽師はSの顔を見て、
「それではこれより始めたいと思いますので、こちらにお座りを」と言った。
言われたとおり、Sは隣に正座する。
それから麻袋から道具を取り出し始めた。
やがて神棚の上には、
三個の鏡、一個の剣、四個の玉、そして色鮮やかな布が一つ置かれる。
そしてSの顔を見ると、険しい表情で喋り始めた。
「これから『蘇生の儀礼』を執り行いと思います。
ただ始める前に一言述べておきますが、この儀式でM代さんがこの人間界に舞い戻るかどうかは、私の霊力とSさんの思いの強さにかかってます。
また復活したとしても、必ずしも以前の彼女とは限らないということをご理解願います」
「それはどういうことですか?」
Sの問いに陰陽師は一度うつ向くと、また彼の顔を見ながら続ける。
「人がその業の結果として輪廻転生をする6種の世界を『六道』と言います。
それは、
餓鬼道、畜生道、修羅道、地獄道、人道、天道の6つを指します。
M代さんが今回人道に復活してもらえば、
良いのですが、餓鬼道や畜生道とかだと、かなり厄介なことになります」
「餓鬼道、畜生道というのは、どんなものなんですか?」
「餓鬼道は常に飢えと乾きに苦しむ世界です。
飢えを満たすためには人間にも襲いかかるような、そんな世界。
畜生道は動物の世界。
無意味な殺しあいに苦しみます。
M代さんがこれらに生まれ変わらないことを、願いましょう。
では始めます。
SさんもM代さんが人道に戻ってこれるよう、魂呼びをお願いいたします」

























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