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不思議体験

期待の新人さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

夢遊病の子供の夜8時半
短編 2025/12/01 00:41 1,003view
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Siriはずっと繰り返し喋っていた。
布団の中から。

「すみません、もう一度お願いします。」

「すみません、それは人の音声ですか?」

「ごめんなさい。…(砂嵐のような音)」

子供が起きてもこれでは怖がる、そう父親としての直感が言っていた。だから、子供からの視線を感じながらも電源を落としにかかった。だが、落ちなかった。むしろ、画面の明るさが、私を嘲笑うように明るくなった。キリギリスの鳴き声のようなノイズが混じり、もう聞き取れる段階にはなかった。

「ごめんなさ(砂嵐)
すみません、電波が悪(通知音)

(砂嵐)、もう一度お願いしまーー
あ、あ、あ、、(砂嵐)
ごめんなさい。(通知音)
すみません、よくわかーー(ピーという音)」

…。

もうやけになって、
とびきり大きな声をあげて起こした。
流石に子供は起きた。立ったまま、半泣きの顔で。

「パパ。怖いよ」

ふと音声はやんだ。それに引っ張られるように、私も我に帰った。悪い夢を見ていたような気分だ。というより、そうであってほしかった。

「ごめん!ごめんよ…」

そのあとは、一緒に抱きしめて寝た。
申し訳ない気分で、日が上るまで離さなかった。
今度は暴れなかった。

…そしてその二週間後、嫁は亡くなった。
寝込んでいた嫁の熱は引かず、病死したらしい。
それっきり子供の夢遊病は収まったが、何か因果があるように思えてならない。

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