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妖怪・風習・伝奇

kkさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

山で遭難して出会った木こりの話
長編 2025/11/06 23:01 22,875view
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だが俺たちはそんな話を信じるタイプじゃなかった。
むしろ怖い話をネタにして笑い飛ばす側だ。

亮介からLINEが届く。
『おう、準備OK? 入口のとこで待ってるわ』

既に現地に着いているらしい。
俺はバイクにまたがり、エンジンをかけた。

夜風を切りながら、街灯の少ない道を抜けていく。
やがて街の明かりが遠のき、代わりに真っ黒な山の影が視界を覆った。

山の麓にある小さな駐車場にバイクを止めると、エンジンの音が静かな夜に吸い込まれていった。
あたりはすでに真っ暗で、外灯も一つしかない。ぼんやりとしたオレンジ色の光が、地面の砂利を照らしている。

入口の方を見ると、そこに亮介の姿があった。
黒いパーカーにリュック、手には懐中電灯をぶら下げている。
その顔は、まるで遠足前の子どものようにわくわくしていた。

「おっ、来たか!」
「おう。……マジでやるんだな」

「当たり前だろ。せっかくの連休だし、ちょっとぐらいスリル味わわねぇと!」

亮介は笑いながら、山の入り口を指さした。
そこには錆びついた鉄の柵が立っており、“立入禁止”の看板がぶら下がっていた。
けれど、誰かが動かしたのか、柵の一部が開いている。

「……入るの、ここからかよ」

「そりゃそうだろ。こういうのは“違反”してなんぼだって」

軽口を叩きながら、亮介は柵の隙間をすり抜けていく。

俺は一瞬ためらったが、結局後を追い、俺と亮介は軽いノリで夜の山に入った。

亮介は「どこまで行けるか勝負だ!」なんてはしゃぎ、俺もつい笑いながらついていった。

しかし、道がだんだん細くなり、枝や蔦が行く手を遮る。
懐中電灯の光が揺れて、影が妙に大きく見える。

「……おい、これ、道合ってるのか?」
「いや、たぶん行けるって!」

最初は笑っていた俺たちも、次第に声が小さくなる。
どこを見ても同じような木々と暗闇ばかりで、道標もなく、まるで迷路に迷い込んだようだ。

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