その後、訪ねてきたいつもの若い配達員に朱実はことの顛末を話した。
「え!小嶋?」
名前を聞いた配達員の顔色が変わる。
「何か心当たりあります?」
朱実が尋ねると、配達員は話し出した。
「実は僕がこの地域の担当になる前の配達員の人が、小嶋でした」
「今その方は?」
「もうこの世にはいません。」
「え!どうしたんですか?」
「配達中の事故でした。
当時僕は小嶋さんの隣の地域の担当だったのですが、
小嶋さんはめちゃくちゃ責任感の強い人で、時間指定された荷物についてはどんなことがあっても間に合わせようとする人だったんです。
そしてあれは特にクリスマス商戦の激しかった12月の頃だったと思います。
その日も荷物の数は半端なく多くて、配達員は皆、昼食も取らずに頑張ってました。
もちろん小嶋さんもそうで、通常の倍くらいの数の荷物を必死に配達されていたと思います。
一軒配ったら、すぐまた一軒と時間指定の荷物を中心に朝から忙しく回っていたようです。
そして最後の一個の午後9時指定の荷物を間に合わそうと急いでいた途中に、事故を起こしてしまったんです。
即死だったようです。
結局その荷物は僕が代わりに配達したのですが、場所は正にこのアパートだったんですよ。
小嶋さん、、、恐らく今も9時の荷物を間に合わそうとしているんですね」
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