その全てが午後9時指定の配達で、ちょうどに配達され、その後○○運送の配達員が訪ねてきて謝るという流れ。
後から訪ねてきた若い配達員によれば、いずれの場合も事務所に戻って朱実の荷物を配達した張本人を探してみたが、そのような者はいなかったということだった。
それで若い配達員は朱実に、次回の配達がある時、前もって玄関口で待機してから配達員の名札を確認してほしいと頼まれる。
興味のあった朱実は引き受けた。
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もう大分肌寒くなってきた10月某日の夜、彼女は自宅アパートの玄関口で待機することにする。
時刻はそろそろ9時になろうかとしていた。
彼女は2分前くらいから、ドアスコープを覗きこむ。
そしていよいよ9時ちょうどになる。
朱実はちょっと緊張した。
するとスコープを通した視界にいきなり入った配達員の姿を見たとたん、朱実の背中に冷たいものが走る。
年の頃は40代後半くらいだろうか。
薄暗い廊下で動く顔は酷い火傷を負ったかのように焼け爛れ、皮膚の中に落ち窪んだ目は赤く血走っていた。
○○運送の制服を着たその男は段ボールの荷物を廊下に置くと、ドア横の呼び鈴を押す。
ピンポーン
こんにちは、○○運送です
その時、彼女はしっかり名札の名前を確認した。
小嶋。
男はその後、以前と同じく足を引きずるようにしながら立ち去る。
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