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ヒトコワ

どこかで見た話さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

記憶の奥
短編 2025/10/20 23:05 2,045view

それは、亡くなった祖父のアパートを片づけていたときのことだった。

祖父はつい最近、眠るように亡くなった。
病院のベッドの上で、最後にこんなことを言った。

「魂ってのはな、行き場を失うと、映像に紛れて沈むんだ。撮られたまま、戻れん」

最初は意味がわからなかった。
でもその夜、アパートで見つけたあるSDカードが、すべての始まりだった。

そのカードの中には、短い動画がいくつも保存されていた。

どれも、部屋の中を固定カメラで撮っただけの映像。
祖父が布団に入って寝ている様子が、夜通し映っている。
最初はただの監視カメラ映像だと思っていた。

けど――
三つ目のファイルから、祖父が寝ている布団の「天井」に、白くて細長い何かが写りはじめた。
カメラには映らないはずの高さ。
でも、はっきりと見える。
指のようなものが、布団の上にいる祖父の顔を、そっと撫でていた。

祖父は起きない。
むしろ、笑っていた。

その晩、夢を見た。

誰かが自分の寝顔を覗き込んでいる夢だった。
白い、すりガラスのような顔。

目も鼻も輪郭もないのに、なぜか「誰かだ」とわかる。
ずっと、俺のことを知っていた人のような気がした。

夢から覚めて、ふとスマホを開くと――
見覚えのない動画があった。

俺が、眠っている様子を真上から撮った動画。
まさにさっきの夢の通りの角度。
撮った覚えなんかない。
でも、保存日時は「1分前」。

布団の奥で、寝ている俺の“顔”が、突然カメラの方を見て、こう呟いた。

「来てくれたんだね。もう、行けるよ」

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