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ヒトコワ

どこかで見た話さんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

記憶の奥
短編 2025/10/20 23:05 2,042view

怖くなって、祖父のノートを読み返した。
あの古びた、地図の描かれたノートだ。
そこには、こう書かれていた。

《魂ノ行ク場》
《映像ノ中ニ沈ム》
《見返シテキタラ 戻レナイ》

ノートの端に、小さな文字で書き足されていた。

《昔は鏡だった。今はカメラになった。魂が“記録”に棲むようになった。》

その夜から、インカメが勝手に点くようになった。
誰もいないはずの部屋で、ピントが合わない「何か」に反応して、シャッターが切れる。

そして、ついに一枚の写真が届いた。
差出人不明のメール。
添付された写真の中――
俺の部屋。俺の背後。

そこに、亡くなったはずの祖父が立っていた。
でも、それだけじゃない。

祖父の肩の後ろに、もう一人。
顔がぼやけて、形を持たない“誰か”が、スマホを構えるような格好でこちらを見ている。

いや、“構えていた”のはたぶん――俺のほうなんだろう。

だって、その写真の中の“俺”、カメラの方をまっすぐ見返して、こう呟いてる。

「もう、撮られてるよ。ずっと前から」

たぶん、これは誰かが撮った怪談じゃない。
これは、“俺”が撮った話なんだ。
そのつもりじゃなかったのに、いつのまにか俺のカメラに、道が繋がっていた。

今この文を読んでいるなら――
おまえのスマホのカメラも、今、裏で動いてるかもしれない。

声がしても、
ふり返るな。
画面を見返すな。

魂は、もう見ている側にいる。

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