怖くなって、祖父のノートを読み返した。
あの古びた、地図の描かれたノートだ。
そこには、こう書かれていた。
《魂ノ行ク場》
《映像ノ中ニ沈ム》
《見返シテキタラ 戻レナイ》
ノートの端に、小さな文字で書き足されていた。
《昔は鏡だった。今はカメラになった。魂が“記録”に棲むようになった。》
その夜から、インカメが勝手に点くようになった。
誰もいないはずの部屋で、ピントが合わない「何か」に反応して、シャッターが切れる。
そして、ついに一枚の写真が届いた。
差出人不明のメール。
添付された写真の中――
俺の部屋。俺の背後。
そこに、亡くなったはずの祖父が立っていた。
でも、それだけじゃない。
祖父の肩の後ろに、もう一人。
顔がぼやけて、形を持たない“誰か”が、スマホを構えるような格好でこちらを見ている。
いや、“構えていた”のはたぶん――俺のほうなんだろう。
だって、その写真の中の“俺”、カメラの方をまっすぐ見返して、こう呟いてる。
「もう、撮られてるよ。ずっと前から」
たぶん、これは誰かが撮った怪談じゃない。
これは、“俺”が撮った話なんだ。
そのつもりじゃなかったのに、いつのまにか俺のカメラに、道が繋がっていた。
今この文を読んでいるなら――
おまえのスマホのカメラも、今、裏で動いてるかもしれない。
声がしても、
ふり返るな。
画面を見返すな。
魂は、もう見ている側にいる。
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