古い日本家屋の庭から縁側の様子が見える。
大きなガラス戸とその奥の襖は開け放たれており、畳の間の柔らかい灯りが縁側を照らしている。
木の格子に磨りガラスがはめ込まれた引き戸を開ける。
古い木と畳の匂いと共に夕ご飯の匂いが私を包み込んだ。
土間でクタクタになった白い運動靴を脱ぐ。
「ただいまー。」
と言うと祖母が迎えてくれた。
「ちょっと、女の子がこんな時間に帰ってきたら危ないでしょ。」
と祖母に嗜められた。
「もう、お夕飯ができてるから手を洗ってきて。」
私は言われるがままに手を洗うと、畳の間の私の座布団に腰を下ろした。
背の低い木製のテーブルのそれぞれの位置には、里芋と人参の煮物、焼き魚、白ごはん、味噌汁が並べられていた。
大きなブラウン管テレビから流れる野球中継をBGMにしながら夕ご飯を食べるのが私の日常だった。
「今日は遅かったな。
ばあさんが心配しとった。」
と祖父が話しかけてきた。
「今日は合唱祭の練習終わりに山の麓の神社で『合唱祭が上手くいきますように』ってみんなでお願いしてきたの!」
と言うと祖父は
「山の麓にお宮さんなんかできたんか?」
と不思議そうにしている。
「すっごい新しくて綺麗だった。
でも、こんな所に新しい神社なんて、なんか浮いてるよね。」
と言うと祖父は神妙な面持ちになった。
「・・・明日、顔を出してみるかの。」
いつもと様子が違う祖父に不安を感じた。
その不安が表情に出てしまっていたのだろうか。
祖父はいつもの雰囲気に戻ると。
「まぁ、村おこしでもするんかいの。
景色が変わるっちゅうのは慣れるまでは不安なもんだが、悪いことばかりじゃない。」
と祖父が笑う。
「明日も朝早いんでしょ?
ご飯食べたら、お風呂に入って早めに休みなさい。」
祖母にそう言われると、「はーい」と返事をしてその日は早めに休むことにした。
寝る前はいつも仏間の父のお仏壇にお線香をあげていた。
香炉にお線香を立てて、鈴を一度鳴らす。
涼やかな鈴の音が輪になって部屋の隅々まで広がった。
そして手を合わせた。
「お母さんが合唱祭に来てくれるように、お父さんからもお願いしてね。」
そうお願いをして、燭台の灯を手で仰いで消した。
大事なことを忘れるところだった。
私は学校用のカバンから合唱祭の案内のプリントを2枚取り、お仏壇の前に戻ってきた。
お仏壇の引き出しを開け、そこにプリントをしまった。
1枚は母へ、もう1枚は父へ。
ここに入れておけば天国のお父さんも読んでくれるような気がした。
念のため寝る前に玄関の戸締りだけ確認して、床の間に向かった。






















随所に差し挟まれる小賢しいレトリックがいちいち鼻につく。
このサイトの読者層には刺さるのかもしれないけど。
ちょっと意味がわからない