神社の前に着くと、鳥居だけでなく参道の石畳から拝殿まで全て真新しかった。
苔むした石垣、古びた瓦葺きの家々、ひび割れたアスファルト、舗装されていない田んぼ道、塗装の禿げた街灯どれもこの集落に馴染んでいた。
使い込まれた安心感のようなものに囲まれていたからこそ、この神社は異質だった。
参道脇の木々の枝が暗い影を落とす。
なのに鳥居から奥だけは切り取られたように整えられている。
「よーし、暗くなる前にちゃっちゃと参拝しよう!」
と田中先輩は先立って拝殿に向かって行った。
みんなもそれに続いてぞろぞろと拝殿に向かう。
みんなは違和感を感じてないの?
悠君の怖がりが移っちゃったのかな?
「なんか変じゃない・・・?
本当にこんなところにお参りするの?」
と悠君が私に言う。
ダメだ。完全に怖がってる。
「”こんなところ”なんて言ったら、それこそ罰が当たっちゃうよ!」
「先輩の言うとおり、ちゃちゃっと、失礼のないように参拝して帰ろ!」
そう言って悠君の手を引いて拝殿まで歩いた。
拝殿に着くとあたりは静まり返っていた。
お賽銭を投げて
「合唱祭にお母さんが無事聴きに来てくれますように。」
と念じて手を合わせた。
悠君も隣で手を合わせていた。
拝殿から鳥居へと踵を返す。
直後、悠君が「うわっ!」と言って尻餅を着く。
「どうしたの?大丈夫?」
と悠君に手を差し出す。
「なんでもない。つまづいちゃって。」
そう言って手を取る悠君の手が少し震えていた。
「さっさと家に帰ろ!」
私はあえて明るい声でそう言って鳥居の方に向かった。
鳥居の外に出ると、思ったよりも何事もなくて安心した。
もう日が沈みかけているので、1年生は家の近い上級生が送り届けることになった。
私は悠君と家が近いので送っていくことになった。
帰り道は街灯が少ない。
鈴虫の合唱が夜の訪れを知らせる。
なるべく明るい話をするように心がけた。
家に着く頃には悠君の表情が少し柔らかくなったように見えたので、私は安心して祖父母の家に帰った。























随所に差し挟まれる小賢しいレトリックがいちいち鼻につく。
このサイトの読者層には刺さるのかもしれないけど。
ちょっと意味がわからない