今、
私の目の前には一枚の写真がある。
それは事務机の上にある一枚の写真。
そこでは真ん中に男が立っている。
私の2つ下の弟、隆志だ。
場所はどこだろう?
薄曇りの空の下、砂利の広がる河原。
清流を背に険しい顔で立っている。
なぜか足元には花束があった。
それだけならどこにでもあるスナップ写真だ。
ただこれは違う。
それは隆志の背後に見える広い川。
その真ん中辺りに誰だろう?
女が一人ポツンと立っているのがボンヤリ見える。
ただその立ち位置がおかしい。
川面から数センチ上のところに立っているのだ。
立っているというか浮かんでいるというのが、正しいかもしれない。
そしてその姿。
比較的鮮明なのはその顔部分。
紫色に浮腫んだ顔。
首から下は影のようにボンヤリ人型を作っている。
その様は人とも他のものとも思えないような異様さを醸し出していた。
写真の横には大学ノートの切れ端が並べられており、そこには鉛筆でこう書かれていた。
─ともみがくる
夜にくる
もう許してくれ
字体から隆志のものというのは、明らかだ。
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