都会に比べて、田舎のトンネルは舗装工事も少ないからかなんとなく古臭い。
私の近所の殆どのトンネルは土や草の根っこなんかで覆われている。それでいて、電気がほとんど着いていないのでその様子はまさに心霊スポットのようだ。
そんなトンネルたちのうちの1つで、昔事故があったようだ。
これは、地域の人にも公開されていない、私と友人だけが知っていること。
詳しい資料は街の役場にあったが、情報が異様に少なかったが、私と友人だけは何があったかわかる。
なぜ私達だけが知っているのか。それは、2週間前のお盆休みまで遡る。
その日はお盆休み初日だった。旅が好きで、とりあえず自分の力で遠くに行ってみたい私と、普段冷静だけれど、ノリだけは良い友人の二人は、何を血迷ったか自転車で、山を超えた先のおよそ40km先にあるコンビニまで行こうという計画を立て、実行していた。
当時中3の私達は、小6のときにもそのコンビニまで行っており、私も中3になってすぐ、個人で行ってみたのだが、3時間半でつくことができた。時間的にも7時間もあれば行って帰れる計算だ。
出発は朝早く。お金を1000円だけ持った私はそれ以外は邪魔だったので持たずに、待ち合わせ場所の学校までに行った。夏なのでもう明るい。私達は5時半には学校を出発できた。遅くとも夕方の3時までには戻り、キャッチボールをしたら帰るつもりだった。
自転車旅のことをお互い親には言っていたが、両方の両親はお盆で忙しく、誰にも見送られることなくスタートを切った。
朝から蒸し暑かった。
途中途中水分を取りながら1時間ほどで街の端っこについた。この話のメインステージのトンネルはそこにあった。
30分ほど移動したところで根性なしにも面倒くささを感じていた私達は、街を抜ける前にやる気が抜けたのと少し疲れたのもあり、時間もあることだし遊ぼうということになった。
夏の醍醐味はお化け屋敷等の心霊スポット系だ。
冒頭にも話したように、私達の街は街といっても田舎なほうだ。トンネルがあるのも街のはずればかりで、そこらは大体山に囲まれまくっている。
私達は、近くにあったトンネルの中で長くて古そうなトンネルを見つけると、その中に入ってみることにした。
そのトンネルには明かりが一切なかった。
トンネルの長さは300m程で、途中100mごとに曲がっているところもあり、終りが見えない。
そしてこのトンネルの異常なところは、「トンネルの横にあること」なのだ。
このトンネルは国道横、山に入っていく道にある。トンネルを抜けた先は普通に小さな村なのだが、このトンネルを利用する人はいない。
・・・実は、このトンネルはもう使われてはいない。
ここまで使われている風に書いてきたが、実は使われていないのだ。
横に新しいトンネルができることになったからだ。新しいトンネルはこのトンネルのようにムダに長くない。ほんの3、40m程で向こう側に着いてしまう。明かりもつく。
古い方のトンネルと新しい方のトンネルとの距離の差は横に10mもない。
そして、古い方のトンネルは大分前に封鎖されていた。
恐らくだが、便利性を欠けていたことが関係しているだろう。
それに、旧トンネルはすぐ横が崖で、少しでも穴が空いたら一気に風が吹き付けたり、そこから支えられなくなった周りが崩壊していき、破損の被害は甚大化してしまう危険性があった。なぜそんな危険な場所に道とトンネルを作ったかはわからないが、私が考えるにこれらのことからこのトンネルは封鎖されたのだろう。
奥から吹き抜ける涼しい風と、明かりがないので奥に行くほど暗くなるその雰囲気はまさに心霊スポットだ。
これからここに入ることに対し私達は、これだ!とお互い賛成した。
トンネルに入るとすぐ、強い風が吹いてきた。気持ちいい。
すっかり自転車での疲れが取れた私達は足取り軽くトンネルを進んだ。ライトで前を照らすも、少しの範囲しか照らせない。トンネルはそれほど、暗かった。
その時、急に友人がころんだ。
「わっう」
石に躓(つまづ)いたらしい。変な声を出しながら友人は倒れた。
「何してんだ!」
大きな声で、笑いながら話しかける。
少しだけ声が響いた。友人を起こそうとしたときだ。
「おい、おかしいぞ」
友人が表情を曇らせる。
「ん?な、なにが」
最初はなにか脅かしてくるのでは、と少しびびった。場所の雰囲気もあり、その時の友人の雰囲気は本当に怖かった。
「いや、最初から⋯」
ここに来て、普段の冷静な友人が出てくる。私はこの友人にはなんとも話しづらく、友人を起こすと話だけ聞くことにした。

























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