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不思議体験

たちさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

誘われて
長編 2025/08/02 23:45 3,451view

「おい!大丈夫かー?」
「こんなとこで何やってるんだよ!帰るぞ。」
聞き慣れた友人達の声が外から聞こえた。
「あれ?あいつら、なんで…あっ!写真送ったからこの場所がわかって、来たんだな!」
そう思うとハンパない安心感で、体中の力が抜けていく感じがした。
思い切って、ドアを開け、外に出た。
外はすっかり夜になっていて真っ暗だった。
ドアを出ても周りには誰もいない。
「あれ?あいつらの声したのにな…」
少し白く靄がかかっている外を友人達を探して歩き回った。

しかし、友人達どころか、誰もいない。
先程まで見えていた多くの古屋もない。
周りを見渡しても靄で何も見えない。
一気に恐怖と不安が襲いかかり、先程まで滞在していた古屋に戻ろうとした。
しかし、来た方向にいくら歩いても古屋なんて見えてこなかった。
途方に暮れていると、視線の先の方に人影らしきものがボンヤリ見えた。
目を凝らし、ジッと見つめていると徐々に姿が見えてきた。
そこには、首から上が無い、白いワンピースのようなものを着た女性が立っていた。
あまりの光景に、声も出ず、腰を抜かした。
顔の無い女性は一歩、また一歩とこちらにゆっくり歩いてくる。

私はただその姿を見ていることしかできなかった。
「ああ、ダメだ。ここで死ぬのか…」
観念して呆然としていると女性はもう目の前まで来ていた。
細く長い腕。
棒のような足。
皮膚はカサカサ。
首は僅かにこちらを見ているであろう角度に。
そして、ゆっくりと女性の手が私の首に…
片手でゆっくりと私の身体は持ち上げられた。
こんな細い腕1本で成人男性を持ち上げるなんて…感心と共にこの先のことを覚悟していた。

3/5
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