「おい!大丈夫かー?」
「こんなとこで何やってるんだよ!帰るぞ。」
聞き慣れた友人達の声が外から聞こえた。
「あれ?あいつら、なんで…あっ!写真送ったからこの場所がわかって、来たんだな!」
そう思うとハンパない安心感で、体中の力が抜けていく感じがした。
思い切って、ドアを開け、外に出た。
外はすっかり夜になっていて真っ暗だった。
ドアを出ても周りには誰もいない。
「あれ?あいつらの声したのにな…」
少し白く靄がかかっている外を友人達を探して歩き回った。
しかし、友人達どころか、誰もいない。
先程まで見えていた多くの古屋もない。
周りを見渡しても靄で何も見えない。
一気に恐怖と不安が襲いかかり、先程まで滞在していた古屋に戻ろうとした。
しかし、来た方向にいくら歩いても古屋なんて見えてこなかった。
途方に暮れていると、視線の先の方に人影らしきものがボンヤリ見えた。
目を凝らし、ジッと見つめていると徐々に姿が見えてきた。
そこには、首から上が無い、白いワンピースのようなものを着た女性が立っていた。
あまりの光景に、声も出ず、腰を抜かした。
顔の無い女性は一歩、また一歩とこちらにゆっくり歩いてくる。
私はただその姿を見ていることしかできなかった。
「ああ、ダメだ。ここで死ぬのか…」
観念して呆然としていると女性はもう目の前まで来ていた。
細く長い腕。
棒のような足。
皮膚はカサカサ。
首は僅かにこちらを見ているであろう角度に。
そして、ゆっくりと女性の手が私の首に…
片手でゆっくりと私の身体は持ち上げられた。
こんな細い腕1本で成人男性を持ち上げるなんて…感心と共にこの先のことを覚悟していた。























※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。