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不思議体験

HiTsUZI1029さんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

その友人、人外につき。
長編 2025/08/01 11:29 2,227view

私達が山頂についたとき、そこでは他のみんなが私達のことを探してくれていた。
その後のことは、言わずもどっぷり叱られたあと親やらなんやらに連絡されてしばらくいろいろな人に交代で見張られることになった。

「・・・ちぇー」

そこからは特に何もなかった。私は、学校に帰ってから友人の家に突撃し、何をしていたのか聞いてみた。半分怒り口調で話したのは、霧の中友人を探したせいで一日の2時間を無駄にしたのと、菓子を食べる暇がなくなっていたからだ。

友人は、戸惑いながらも答えてくれた。

衝撃的だった。

友人は、散策中に霧に見舞われ、私とも会えず、登山道にも戻れなかったそうだ。
私と同じように途方に暮れていたところで、「声」がしたらしい。
その声は、張りのある青年の声に聞こえたそうだ。

声がした方に行ってみると、そこは妙に開けた場所で、とても山の上にいるとは考えられないような場所にたどり着いたらしい。広さの感覚としたら、そこいらにある小さなレストラン…小さめの食堂の部屋くらいの広さがあったそうだ。

そして、そこには一人の青年(A)がいた。

Aは、友人に気づくと後ろに跳ねて霧に消えていったかと思うと、急に友人の目の前に飛び降りてきた。
友人がなにも理解できずにいると、Aは下に向けてジャンプした。そこは、軽く20mはある崖だった。下が霧で見えなくなるくらいの崖だ。

「え、は?」
友人は戸惑いながらAが落ちた先を見る。

[[どちゃ]]
鈍い音に顔をしかめ、少し後退りする。

「え、嘘だろ?と、ちょ、けいさー・・」
言葉に詰まっていると、Aがひょいと崖から身を乗り出してきたらしい。

「うわあああああああああああああ!⋯落ちなかったのか(苦笑い)よかったー」

友人は安心していたが、Aは

「ん?落ちたよ?」
という。

どういうことかと尋ねると、「落ちたがこれくらいじゃ死なない」といったという。
そして、友人の目の前で3段バク宙や木の上にジャンプで上がるという人外の動きを見せるA。
友人曰く、その動きはまるで昆虫のようにふわっと、ごく自然にしていたという。
「お前は誰?…」
聞いてみたが、返事はない。
不敵な笑みで友人を見つめると、Aは「なんでもないよ、(友人の本名)」といったという。

「え、誰?」
動揺している友人をよそに、Aは「俺の名前はー」と言いながら、友人の後ろを指差して消えていったという。その声は小さく聞き取れなかったらしい。

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