トサカ（R18+）

4人部屋分でも気が利く奥さんが夏掛けの軽い布団は1枚用意してくれてありましたが
座布団的な物ないのかなとやんちゃなNが言うなり、また触ってはいけない所を物色します
悪気もなくクッションを見つけ、持ち出します
まあ新しくはない、形も崩れた、捨て忘れのような物でしたので、
私もそれほど気にしていなかったのを覚えてます

その時その時で違いますが
小旅行で街で宴会した後は、それぞれで気を遣わず行きたいところへ
カラオケスナックに行く2人、町中華に行く3人、その土地のそれぞれの夜を楽しみます
後日、皆でその晩の話を持ち出して呑み交わすのも、また醍醐味です

私は一応、中でも酒が強い方、年上もありますので大体、部屋の鍵は私が持つ係です
同じベッドの部屋のKも昼間から呑んでいたのもあり、二人で早目の帰路に

部屋に着くと、鍵が回らない
ちょっと下、行ってくる
早目の帰りといっても恐らく11時程度、酔っ払ってはいたものの気を遣うのは常
これ以上奥はご夫婦の生活圏だからとは思うものの、鍵が開かないので仕方ない
すいませんー
奥の明かりが漏れている部屋へ小さめに声を掛けます
すぐに戸が開き、パジャマの旦那さんが、はいはい、と
起きてて良かった
すいません、ちょっと部屋の鍵が開かないんです、と
そうですか、すいませんね、〇〇、ちょっといいかなー
部屋の戸を開けっ放しで更に奥にいる奥さんへ旦那さんが声を掛けます

パッと見たらそちらは二人の居間のようで、床の間といいますか壁際に
まだ白さがある真新しい位牌、新しい額の遺影が見れてしまったんです
覗き込むことまではもちろんしませんのでどんな方かも骨壺があったのも記憶してないですが
奥さんが出てきた時、その私の目線を見られたのはその後の事で記憶しています
奥さんが上着を羽織りながら出てきます
すいませんね、ちょっとコツがあるんです
出掛ける前、ヒゲの方にはご説明しておいたんですけどね
替えなくちゃダメですね
って
やんちゃNに、コツを教えておいたらしいが全くこちらは聞いてない
鍵の話をした後、部屋へ向かいながらまた奥さんが続けられます
主人の弟が、先週に亡くなってね
私の目線を見て付け加えながら、鍵の対処してくれた事、好印象として記憶しています