「され、これはあなたの父君が日曜大工で愛用しているノコギリです。試す時間がなかったので使用感はわかりませんが、まあ、大丈夫でしょう」
ロボット大佐はそう言って、目を吊り上げて怒りをあらわにしているクマのぬいぐるみにそれを手渡す。
ぬいぐるみには大き過ぎるサイズのノコギリなのに、そして、片方の腕はほとんどちぎれてしまっているのに、クマはそれをいとも簡単に振り上げ、押さえつけられている僕の左腕の付け根に振り下ろした。
痛い!と思ったのは一瞬で次の瞬間は痛いなんて言う感想は吹き飛んだ。
クマが僕の腕を切り刻み始めたからだ。
怖い! 嫌だ! 助けて!
腕がなくなってしまう恐怖心が強くて、僕は何回も何回も、心のなかで助けを呼ぶ。
ぎこぎこぎこぎこ。
実際にはそんな音は鳴ってないけれど、でもそんな音が聞こえるような気がした。
僕は他の人形たちに全身をおさえられていて、ベッドに張り付けられているみたいになっていて、腕を動かすどころか文句のひとつすら言えない状態だ。
僕が自由に動かせるのは両目くらいで、どんどん僕の身体から離れていこうとしている左腕を涙でかすむ視界で見ることしかできない。
やめて! いたい! もうやめて!
何度も心のなかで叫んだ。でもやめてくれるわけがない。
ときおり、クマは僕の表情を見て、薄い笑みを浮かべていた。僕が苦しんでいるのが嬉しいんだろう。
……どれくらい時間が流れただろう。
僕の腕は切り離されてしまった。途中、痛みで何度も気を失ったけど、そのたびに叩き起こされた。
もうだめだ。僕は殺されてしまうんだ。
諦め変えたその時、ロボット大佐は優しく言った。
「この程度で絶望してはいけませんよ。これからが本番なのだから」
彼の隣りにいたのは世界的に有名な外国アニメのぬいぐるみだった。
お母さんが「あんまり作りがよくないねこれ」って買ってくれたばかりの頃に言っていたけれど、たしかに最初からところどころほつれていたし、特に目は糸が出ていて、遊び始めてすぐに両目がとれてしまった。
「やあ。俺のこの目を引きちぎったときのことは覚えてるかい? あの時は痛かったなあ」
そんな……僕は別に、無理やりちぎったわけじゃなくて、遊んでたら――
「遊んでたら取れました……そう言っておけば許されるっていうのか? じゃあ俺も遊んでみるかな」
そう言って、彼は僕の筆箱からシャーペンを取り出した。
何をするんだろうなんて考える暇もなくて、そのシャーペンは僕の右目に突き刺さった。
痛みというか、刺された反動みたいな感じで、僕の身体は跳ね上がった。じわーっとだんだん熱くなってくるのを感じて、とにかく熱くて、まるで目元が焼かれているみたいな感覚だった。
「おっと、悪い悪い。遊んでたらお前の目ん玉に突っ込んじゃったよ」
クマは薄ら笑いを浮かべながら、左目も同じように突き刺す。
「ははは、これで俺とおそろいだな。で、次は誰の番だっけ」























悪夢のトイストーリーといった感じがする。
怖すぎだろ。まぁおもちゃは大事にってことですね。
こえええええええええ
普段遊んでいるおもちゃはこんな思いをしているのかとわかりました。にしてもとっても怖いですね。