「痛い!」
太ももに激痛を感じた。明らかになにかで刺された痛みだ。
恐る恐る自分の足に視線を落とすと、月明かりしかない薄暗い部屋でもわかるくらいに、パジャマが血で染まっている。
「痛いよ……なにするんだよう……」
僕は泣いてしまう。
でもトラはそんな僕の顔を見て笑う。
「どうしました? ご主人様」
どうもこうもないだろうって怒りたいけど、僕は怒りよりもここでようやく怖さが込み上げてくる。
「おやおや、血が出てるじゃないですか。これは消毒しなければいけませんね」
いつの間にかトラのよこに立っていたアニメキャラクターのフィギュアが、僕の太ももにお酒をかける。
「いっつ!」
傷口にアルコールをかけられて、飛び跳ねたくなるくらいの痛みを感じて僕はいよいよ大粒の涙をこぼしてしまう。
でも彼らは笑っている。二人とも、にやにやと僕が痛がるのを見て、ただ笑っていたんだ。
「ひどい……なんでこんなこと……」
「ひどい? やだなあご主人様。本当にひどいのはあなたでしょう?」
腕のちぎれかけたクマのぬいぐるみが、僕の机の上に立ってて、ちぎれてない方の手を僕に向ける。
「その小さな頭でよく思い出してもらいたいですね。私の腕をこんな風にしたのはどこの誰だったかを」
そんな……別に僕だってわざとちぎったりはしてないし、もう何年も前に買ってもらったんだから、ボロボロになるのもしょうがない――
「しょうがない? 私の腕がちぎれたのはただの経年劣化だとでも? むしろ四年も遊んであげたんだから感謝しろとでも言いたいのですか?」
気づけば、もう誰も笑ってはいなかった。みんな怖い顔で僕をにらんでる。
「そうですか、そうですか。四年も経てばボロボロになるのはしょうがないですか。じゃあ10年も生きているあなたの腕もそろそろ経年劣化する頃ですかね」
僕は慌てて自分の両腕を引いて、自分を抱きしめるみたいにする。
まさか、腕を切ろうって言うんじゃないだろうか。
嫌だ! 絶対にそんなことはさせない!
ここで初めて僕は大声で助けを呼ぼうとする。
お父さんもお母さんも、自分の部屋で寝てるはずだし、叫べば聞こえるだろう。
でも、それを彼らは許してはくれなかった。
羽の生えた妖精が飛んできて、僕の口に何かの布みたいなものを押し込んだのだ。
次の瞬間、恐竜の人形が僕の口にガムテープを貼り付ける。
僕は完全に声を封じられてしまった。
涙をこぼしながら、助けてとお願いするけれど、もちろん誰も僕の頼みなんて聞いてはくれない。

























悪夢のトイストーリーといった感じがする。
怖すぎだろ。まぁおもちゃは大事にってことですね。
こえええええええええ
普段遊んでいるおもちゃはこんな思いをしているのかとわかりました。にしてもとっても怖いですね。