今更謝られてもと思ったけれど、あんたが死んでも何とも思わないからとも思ったけど、なぜか私の目からも涙が零れ落ちた。
お父さん、死なないで。私をひとりにしないで。
思ってもいない言葉が口から零れ出た。
そうか。私は寂しかったんだ。私はひとりになりたくなかったんだ。
誰かに、愛されたかったんだ。
病院の一室で、一晩中泣いた。二人で泣き続けた。
その後、私は父の子を身籠る。進学した都立高校では、教師にゴミを見るような目で見られ、殆ど連絡を取ってなかった祖母は受話器越しに死ねと言った。
数少ない友人は去り、心無い知人が私の半生と共に顔写真をネット掲示板に晒し上げ、拡散された結果、SNSでも当然のように「学生の無計画な妊娠」と馬鹿にされ続ける。
いいさ、みんなで私を馬鹿にすればいい、呪えばいい、死を願えばいい。私は私の人生を生きているだけだ。他人に何を言われる筋合いもない。
そんな風に考えていたけれど、やっぱりそれは強がりに過ぎなくて、私は寂しがり屋でしかなくて、たくさん泣いてしまった。
一方、父は笑っていた。新しい家族ができると喜んでいた。
そんな父にも愛想を尽かしかけ、幸か不幸か無事に産まれてしまった我が子を抱きながら命を諦めかけていたその時、私の目に母の遺影が映る。
写真の中で母は笑っていた。いや、笑っていなかった。口角が上がっていたけれど、その目は笑ってなんかいなかった。
旦那を寝取った私を恨んでるの?
十六で妊娠して孤立した私を嘲笑しているの?
それとも、自分と同じ過ちを繰り返した私を憐れんでいるの?
死人は語らず、ただ私を見つめるばかり。
そして私は生きることを決意する。
母が見れなかった未来を見ようと決意する。
一日たりとも娘の成長を見ることが叶わなかった母の代わりに、私が父の子が育つ様を見届けよう。
私と私の娘の命を救った母は、今日も写真の中で口元を歪ませている。
























繰り返してるのはちょっとな..