柵が見えると一気に飛び掛かり、急いでよじのぼる。上まで来たらまた一気に飛び降り、すぐに入り口へ戻ろうとした。
だが、混乱しているのかAが上手く柵を上れずなかなかこっちに来ない。
オレ「A!早く!!」
B「おい!早くしろ!!」
Aを待ちながらオレとBはどうすりゃいいかわからなかった。
オレ「何だよあれ!?何なんだよ!?」
B「知らねえよ黙れ!!」
完全にパニック状態だった。
その時
チリリン!!チリンチリン!!
凄まじい大音量で鈴の音が鳴り響き、柵が揺れだした。
何だ…!?どこからだ…!?オレとBはパニック状態になりながらも周囲を確認した。
入り口とは逆、山へ向かう方角から鳴り響き、近づいているのか音と柵の揺れがどんどん激しくなってくる。
オレ「やばいやばい!」
B「まだかよ!早くしろ!!」
オレ達の言葉が余計にAを混乱させていたのはわかってたが、急かさないわけにはいかなかった。
Aは無我夢中に必死で柵をよじのぼった。
Aがようやく上りきろうかというその時、オレとBの視線はそこになかった。ガタガタと震え、体中から汗が噴き出し、声を出せなくなった。
それに気付いたAも、柵の上からオレ達が見ている方向を見た。
山への方角にずらっと続く柵を伝った先、しかもこっち側にあいつが張りついていた。
顔だけかと思ったそれは、裸で上半身のみ、右腕左腕が三本ずつあった。
それらで器用に綱と有刺鉄線を掴んでい?っと口を開けたまま、巣を渡る蜘蛛のようにこちらへ向かってきていた。
とてつもない恐怖
「うわぁぁぁぁ!!」
Aがとっさに上から飛び降り、オレとBに倒れこんできた。それではっとしたオレ達はすぐにAを起こし、一気に入り口へ走った。
後ろは見れない。前だけを見据え、ひたすら必死で走った。
全力で走れば三十分もかからないだろうに、何時間も走ったような気分だった。

























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