伯父「間違いねえのか?ほんとに下半身を見てねえんだな?」
オレ「は、はい…」
おっさんは再びBのお母さんに顔を向け、ニコッとして言った。
伯父「お母さん、何とかなるかもしれん。」
おっさんの言葉にBのお母さんもオレ達も、息を呑んで注目した。
二人は言葉の意味を説明してくれた。
葵「巫女の怨念を浴びてしまう行動は、二つあります。
やってはならないのは、巫女を表すあの形を変えてしまう事。
見てはならないのは、その形が表している巫女の姿です。」
伯父「実際には棒を動かした時点で終わりだ。必然的に巫女の姿を見ちまう事になるからな。
だが、どういうわけかお前らはそれを見てない。動かした本人以外も同じ姿で見えるはずだから、
お前らが見てないならあの子も見てないだろう。」
オレ「見てない、っていうのはどういう意味なんですか?オレ達が見たのは…」
葵「巫女本人である事には変わりありません。ですが、かんかんだらではないのです。あなた方の命を奪う意志がなかったのでしょうね。
かんかんだらではなく、巫女として現われた。その夜の事は、彼女にとってはお遊戯だったのでしょう。」
巫女とかんかんだらは同一の存在であり、別々の存在でもある…?という事らしい。
伯父「かんかんだらが出てきてないなら、今あの子を襲ってるのは葵が言うようにお遊び程度のもんだろうな。
わしらに任せてもらえれば、長期間にはなるが何とかしてやれるだろう。」
緊迫していた空気が初めて和らいだ気がした。
Bが助かるとわかっただけで充分だったし、この時のBのお母さんの表情は本当に凄かった。
この何日かでどれだけBを心配していたか、その不安とかが一気にほぐれたような、そういう笑顔だった。
それを見ておっさんと葵も雰囲気が和らぎ、急に普通の人みたいになった。
伯父「あの子は正式にわしらで引き受けますわ。お母さんには後で説明させてもらいます。
お前ら二人は、一応葵に祓ってもらってから帰れ。今後は怖いもの知らずもほどほどにしとけよ。」
この後Bに関して少し話したのち、お母さんは残り、オレ達はお祓いしてもらってから帰った。
この家の決まりだそうで、Bには会わせてもらえず、どんな事をしたのかもわからなかった。
転校扱いだったのか在籍してたのかは知らんが、これ以来一度も見てない。
まぁ死んだとか言うことはなく、すっかり更正して今はちゃんとどこかで生活してるそうだ。
ちなみにBの親父は一連の騒動に一度たりとも顔を出してこなかった。どういうつもりか知らんが。

























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