どうやら一昨日Bのお母さんが電話していたのは別のとこらしく、話を聞いた先方はBを連れてこの家を尋ね、話し合った結果こっちに任せたらしい。
Bのお母さんはオレ達があそこに行っていた間に、すでにそこに電話しててある程度詳細を聞かされていたようだ。
葵「基本的に、山もしくは森に移されます。
御覧になられたと思いますが、六本の木と六本の縄は村人達を、六本の棒は巫女の家族を、四隅に置かれた壺は生き残られた四人を表しています。
そして、六本の棒が成している形こそが、巫女を表しているのです。
なぜこのような形式がとられるようになったか。箱自体に関しましても、いつからあのようなものだったか。
私の家を含め、今現在では伝わっている以上の詳細を知る者はいないでしょう。」
ただ、最も語られてる説としては、生き残った四人が巫女の家で怨念を鎮めるためのありとあらゆる事柄を調べ、
その結果生まれた独自の形式ではないか…という事らしい。柵に関しては鈴だけが形式に従ったもので、綱とかはこの時の管理者によるものだったらしい。
伯父「うちの者でかんかんだらを祓ったのは過去に何人かいるがな、その全員が二、三年以内に死んでんだ。ある日突然な。
事を起こした当事者もほとんど助かってない。それだけ難しいんだよ。」
ここまで話を聞いても、オレ達三人は完全に置いてかれてた。きょとんとするしかなかったわ。
だが、事態はまた一変した。
伯父「お母さん、どれだけやばいものかは何となくわかったでしょう。
さっきも言いましたが、棒を動かしてさえいなければ何とかなりました。しかし、今回はだめでしょうな。」
B母「お願いします。何とかしてやれないでしょうか。私の責任なんです。どうかお願いします。」
Bのお母さんは引かなかった。一片たりともお母さんのせいだとは思えないのに、自分の責任にしてまで頭を下げ、
必死で頼み続けてた。でも泣きながらとかじゃなくて、何か覚悟したような表情だった。
伯父「何とかしてやりたいのはわしらも同じです。しかし、棒を動かしたうえであれを見ちまったんなら……
お前らも見たんだろう。お前らが見たのが大蛇に食われたっつう巫女だ。下半身も見たろ?それであの形の意味がわかっただろ?」
「…えっ?」
オレとAは言葉の意味がわからなかった。下半身?オレ達が見たのは上半身だけのはずだ。
A「あの、下半身っていうのは…?上半身なら見ましたけど…」
それを聞いておっさんと葵が驚いた。
伯父「おいおい何言ってんだ?お前らあの棒を動かしたんだろ?だったら下半身を見てるはずだ。」
葵「あなた方の前に現われた彼女は、下半身がなかったのですか?では、腕は何本でしたか?」
「腕は六本でした。左右三本ずつです。でも、下半身はありませんでした。」オレとAは互いに確認しながらそう答えた。
すると急におっさんがまた身を乗り出し、オレ達に詰め寄ってきた。



























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