最近の話だが、カーテンを少しめくって外を見ると、俺と一瞬目が合った後に逃げるように去っていく人を何人か見たことがある。
どうやら、俺の自宅を知らない間に突き止められていたらしい。
そしていよいよ、そのx月5日がやってきた。
今日は何があるかわからないから、俺は怖くなって、明るいうちに編集担当のM氏に家に来てもらった。
Mは3年ほど前から俺の担当をしてもらっている人物だ。
Mによると自宅の周りには不審な人物が何人かいて、何か自宅の中を伺うような様子だったという。
Mには申し訳なかったが、日付が変わるまで居てもらうよう頼んだ。
テレビを点けると、情報番組はことごとく「預言」を取り上げていて、取って付けたように根拠のないデマだと言っていたが、番組にとっては都合のいいネタとしか思われていなかった。
テレビを消してラジオで適当な音楽番組を聴いて落ち着かない時間を過ごしていくうちに、夕暮れの時間になっていた。
今日はなんとなく外には出ていけない雰囲気で、食事といえばカップラーメンくらいしか無かったが、二人で食べても気分的にその味を味わうことができなかった。
完全に日が暮れたころ、なんだか外が少し騒がしくなってきた。
窓から外を見ると、かなりの人数…ここからだと7~8人は確認できたが、実際にはもう少しいるような気配が感じられた。
その手にしている段ボールとか大きめの厚紙か何か、いわゆるプラカードには手書きのメッセージが書いてあるのが読み取れた。
「ペテン師」「偽預言者」「仕事を返せ」「お前の命も今日までだぞ」
等々と書いてあり、俺にとっては、いや俺だけではないが、とんでもない事態に陥っていた。
悪夢のような時間を過ごしているうちに、ふと気が付くと、時計の針は11時30分を指していた。
家の周りには、さらに多くの人たちが集まっていることが感じられた。
というのも、よく聞こえはしないが、大声を上げている人もいたから、明らかに近所迷惑だということもあり警察の力を借りることにした。
電話で警察官に事の説明をすると、同じように迷惑を受けているというご近所さんからも通報があり、今から出動するとの事だった。
ほどなくして、しだいに近づいているサイレンの音が聞こえてきた。
俺は窓から様子を見ていたが、家の周りにいたはずの人々は徐々に減っていった。
パトカーが止まると、何やら興奮して警官に食って掛かる男がいたり、散り散りに去っていく人たちが確認できた。
それも落ち着いたころに表に出て二人の警察官に自分の正体と事のあらましを説明すると、とにかく大事にはならなかったから良かったと逆に同情される始末だった。
警察官にお礼と謝罪をするとパトカーで署へと戻っていった。
家の周りに誰もいなくなったが、その代わりに例のプラカードやペットボトルなどのゴミが散乱していた。
俺は家に戻りゴミ袋を持ってきてMと二人で重い気持ちのままゴミを拾っていた。
「Mさん、俺は何か悪いことでもしたんですかね…。ただ、見た夢をストーリー仕立てにしただけなのに…。」
「…まあ、今日は何も起こらなくてよかったと思うしかないでしょう…。」
「…そうですね…。」
何気なくスマホを確認すると、いつの間にか日付が変わってx月6日になっていた。























で?
>で?
お忙しい中、わざわざ読んでいただきありがとうございます。
しかもコメントまで書き込んでいただいてありがたい限りです。
この話は都市伝説とかの類ですので、怪談とか怖い話だと思って読み進めると「何か違う」のかもしれません。
この短いコメントでわかりますが、短い言葉で自分の思いを伝えるという、すごく才能のある方だとお見受けしました。あなたの作品を読んでみたいのでぜひ紹介してほしいです。
それにしても、自分の考えやストーリーを読み手に伝えるという事は難しいものですね。
作者より
本当にこれですよね
今の世の中、情報をどう取り扱うべきかほんとうに
本当に、今の世の中って情報の扱いが難しくなりましたねえ
世の中でいちばん面白くないのは他人が見た夢の話だ、とか言っといてこれですよ
ここ最近で一番怖い話ですねえ間違いなく