それからは事象の再現と昇華に向けて、一層のめり込んでいった。
より容易に、
金縛りを再現できるよう感覚を研いだ
より明確に、
聴覚、触覚だけでなく視覚、嗅覚でも夢を感じられるようイメージを強化した
より自由に、
恐怖心に頼らず、多様な心象を具体化できるよう試した
より日常的に、
金縛り状態でなくとも現実に夢を重ねられるよう覚醒と睡眠の狭間を追い求めた
時間感覚が希薄になった頃、自分だけの夢の世界は完成したように思う。
しかし同時にあらゆる意欲を喪失し、叶えたいものは何もなくなっていた。
ただ、起きている(と思っている)時も、夢の中にいる(と思っている)時でも、何処か遠くから目覚ましのベルの音が聞こえており、訳もわからず必死に抵抗していたような気がする。
当時の記憶は曖昧で、
夢を追い求めること以外の事はあまり覚えていない。
言葉にするのは難しいが、
思い出すとこんな感じだっただろうか。
ねむたい
教室の天じょうへ浮き上がり教だんの先生をみる
ちいきのとくさん品について話しているけど興味ない
ねむたい
先生から怒られたし心配されたが透明人間でいればだいじょうぶだ
これで怪物に見つかることもないし安心だ
ねむたい
校庭にには犬のぷく助が待っているのが見える
ひさびさにぷく助に会えてうれしい
ねむたい
教室には誰もいないし外はくらい
そろそろ怖い月が落ちてくるから終わりだ
ぷく助といえにかえろう
お母さんもきっとよろこぶ
ねむたい

























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