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妖怪・風習・伝奇

イエティさんによる妖怪・風習・伝奇にまつわる怖い話の投稿です

化女沼レジャーランド
短編 2025/06/05 16:28 2,676view
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近所で有名な心霊スポットがある。

タイトルにもつけてる通り、化女沼レジャーランドってとこ。
映画の撮影にも使われたりそもそも心霊スポットとしても有名だから、知ってる人ももしかしたら多いんじゃないかと思う。

2001年に閉園して以来現在に至るまで放置されたまま、廃墟になってるんだけど、最盛期には年間30万人も客が入ってたんだって。

地元じゃ有名な心霊スポットだから色んな噂が絶えなくて、嘘かほんとかよくわからん話でよく話が弾んだ。
先輩の先輩の友達が行方不明になっただの、やべえやつが追いかけてくるだの、観覧車を写真に撮ると幽霊が映るだの…

廃墟になって数年経ったころか…学生の頃に行ってみたんだよ。友達3人と。
今思えばただの不法侵入。若気の至りで時効としてください・・・。立ち入り禁止の看板も当然のように立ってたんだけど、お構いなしに入ってった。

夏の、薄暗くなり始めた19時頃。

チャリで近くまで行って、坂道に立ってる立ち入り禁止のロープ飛び越えて、ずんずん進んでった。内心ビビってたから、「化女沼レジャーランド」って書かれたボロッボロのゲートが現れた時は震え上がったね。

それをくぐって、アスファルトからぼーぼーに生い茂る雑草をかき分けて色々見回って、写真も何枚か撮って。

30分も経つと空気に慣れて怖さもなくなってた。
何もねーじゃんなんてぶつくさ言いながら、何も起きないし帰ることにしたんだ。

来た道戻って、またあのゲート。
ここで友達の一人が「うわっ」と立ち止まった。

「・・・ものすごい寒気がする」

おふざけの空気ではないその表情と声音に、空気が一気に張り詰めた。
虫の声、カエルの鳴き声、俺らの息遣いだけが聞こえる。ガチガチに固まった体は素直に動かせず、視線だけで周囲を見渡す。

何も見えないし、何もいない。

数秒間の沈黙の後、幽霊なんて一切信じない強心臓の持ち主である友達が「行こう、なんもいねーよ」と俺らの背中を押した。

徐々にゲートが近づく。会話は無かった。

ここで先頭を歩いていた俺ともう一人が、有り得ない異変に気付いたんだ。

ゲートの真下。軽自動車一台すっぽり収まりそうなくらいの、大きな穴。来たときはなかったはずの大きな穴。
穴というか、真っ黒い絵の具で塗りつぶしたかのように、底も見えず光も当たらない。

なんか、虚無とか虚空とか、そんな言葉が似合いそうな穴。

数秒間の沈黙ののち、俺らは一目散に遊園地内に戻った。

「「やべえよあれ!!なんだよ!!こえーよ!!!」」

皆口々に恐怖をまぎらわすように大声をあげて、走った。
200mくらい走っただろうか。汗だくで半泣きで、顔はボロボロだった。

笑っているような泣いているような…非現実的な状況を楽しんでいるような、怖いような…みんなそういう複雑な顔をしていた。

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コメント(3)
  • 久しぶりの投稿!
    面白かったです(⌒▽⌒)

    2025/06/06/09:02
  • うあーーーー。俺の地元だわーーーーー!
    ・・・って、いやいやいや!
    なーにしてんの!なーに入ってんのお!?
    あすこガチ危険だから入っちゃ・・・
    俺が高校の頃さ、ふざけて2人がはいったんだよ。
    そしたら・・・行方不明になって数週間後に化女沼から白骨・・・見つかってさ
    先生にどうしたんですかって聞いたら険しい顔で「ちょっとなあ・・・、近藤(俺)はまあ、、、うん、、、つまりその通りだよ」って。その後もう1人も一週間休んでた。

    2025/06/20/19:44
  • あのまま警備員さんに発見されなかったら>”<

    2025/07/11/15:18

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