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不思議体験

かたまりさんによる不思議体験にまつわる怖い話の投稿です

あの子の綺麗な歌
短編 2025/06/02 07:28 1,636view
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ふとした時に思い出した話。
今となっては夢?精神的な病気?
って思い始めてる話なんだけど。
俺が幼稚園の頃、結構友達が沢山いたんだ。
その中で一人、女の子がいたんよ、
名前は思い出せない。黒髪の普通の子供。
その子よく、歌を歌ってて、めっちゃ上手かった。
女の子は俺によく歌を教えてくれてて、
二人で教えてくれた歌を毎日歌った。
歌ってるときはまるで夢の世界に行ったみたいで
めっちゃ楽しかったし、
空も飛べそうなぐらいだった。
そんな俺と女の子が、なんかしらで喧嘩したんよ。
腹立ってさ、俺は女の子に
「二度と話しかけてくんな!」
って言った。女の子も
「じゃあもうアンタには会わないから!!」

って言われて、それから離れ離れになった。
あの子の事も、歌の事も全部忘れる勢いで、
他の事遊びまくった。
ホントは俺喧嘩して寂しかったんだろうな…。
仲直りしたいけど、何となく近寄れなくて
幼稚園を卒業するって日、勇気出して
他の友達に聞いたんよ、
「〇〇(女の子)どこ行ったん?」
「〇〇?だれのこと?」 
「ほらよく一緒に歌ってた子!」
「えー、いつも一人で歌ってたやん」
「歌ってへんし!先生はわかるやんな?
〇〇の事」
「〇〇…?そんな子いたっけ?
お母さんわかります?」
「いや…わかりませんね、
アンタそれホンマなん?」

「ホンマよ!なんでわからんのー…
前一緒によく歌ってたやん!!」
「えー、俺君よく一人で歌ってたよ
一緒に歌ってた子は見たことないなー…」
「嘘やん!歌教えてくれたし、
歌めっちゃ上手かったやん!」
「〇〇なんて子おらんかったで!
俺君変な事いうねー」
「俺君、そんな子幼稚園にいなかったよ?
あと…ずっと一人で歌ってたし…」
どれだけ説明しても 
「そんな子いない」「一人で歌ってた」
と答える皆に
「俺は嘘をつかれてる」、と思って拗ねて
自分で探しに行った、
背を向けて走り去る俺の後ろで、友達や
先生の声がぼそっと聞こえた。

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