だが皮肉にも、このゾンビ低年齢化問題は間も無く社会の目に晒されてしまう。
そのきっかけになったのは、惨劇の始まりに関わった、例の医師である。
…
テレビに例の医師が映っている。
国会中継だった。
彼は国会の場で、ゾンビ撲滅の正当性を、自らの正しさを熱弁していた、
その時である。
医師が突然、倒れた。心臓発作であった。
倒れて、数秒で彼の命の火は消えた。
しかし、その直後、
彼は蘇った。
ゾンビとして。
そして彼は、即座に法に則り頭を撃ち抜かれて、再殺された。
その光景が、全国中継で流されたのだ。
それは、彼自身が唱えていた高齢者のみがゾンビ化するという推論が否定された瞬間でもあった。
…
…
社会は、震撼する。
人類が目を背けていたその事実を認識したからだ。
それは、『人は生きている限り、老いる』、
という事である。
そう、人類は気付いた。思い出した。
このゾンビ化は、老人だけの問題では無い事に。
『死』と同じく…いや、『老い』と同じく、生きている限り逃れられ無い事に。
生きている限り人はいずれ必ずゾンビとなる。
ゾンビ化すれば、自らが作り上げた世界のルールに殺される。
逃れる方法は、唯一つ。
ゾンビ化する前に、死ぬしかない。
この真実を前に、人間は、生きる希望を失った。
未来は絶望しかないからと。
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ストーリーがめっちゃ面白い!
エグい、リアル、本当に怖いのは人間、そして哀しい。
この人の作品毎回恐すぎる