仕事人のＡさん

ようやくＹのウキが勢いよく沈んだ。
咄嗟にアワセをいれると、手ごたえがあり、竿がしなった。
だが・・動きが重い。鮒や鯉ではなさそうだ。
Ａさん「どうだい？」
Ｙ「外道（対象魚ではない）みたいです」
直後に水面に浮かんできたのはアカミミガメだった。
外来種の亀でミドリガメともいわれるやつだ。
次の瞬間、幸か不幸か針が外れ、亀は水中に消えていった。
Ｙ「やれやれ、ですね。」
Ａさん「この池にもアカミミが増えているんだな。」

Ｙ「その分、魚は減っているんでしょうね。」
Ａさん「釣り人からしたら迷惑な話だな。」

アカミミガメは旺盛な食欲と繁殖力で、日本の各地で
急激に数を増やして問題化している。外来種問題というやつだ。
外来種が増え、その影響で、日本固有の在来種の生息が危うくなり、
生態系が破壊される懸念が生じている。

Ｙ「駆除して当然ですよね。」
Ａさん「だまって死ぬのを待つわけにはいかないしなあ。」
Ｙ「でも世間一般は認めないでしょうね。」
Ａさん「殺すのは良くない事、って考えるだろうしなあ。」

自分の都合で勝手に命を奪うな、と、いうのは正論だ。
だが、殺すほうだって楽に殺すわけでもない。
殺ぜば楽にはなるわけだが、殺すのが楽しいわけでもない。
亀の場合なのであれば、普通は水に沈めても土に埋めても死なない。
固い甲羅を剥がしたうえで首を切るくらいしないと殺せなさそうだ。
なにか都合の良い道具でもなければ、簡単には殺せないし、
殺すのが難しいのは確かだろう。

現実的な方法としては、
まず超低温（マイナス50度以下）の冷凍庫で２～3日かけて凍死させる、
死体は船で海の沖合に運び投棄し、魚等が食べたり、
バクテリア等が分解するのに任せる、
などの方法が取られている例はあるようだ。