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呪い・祟り

yukiさんによる呪い・祟りにまつわる怖い話の投稿です

馘、括リ姫
長編 2025/05/16 14:53 16,276view
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車中の俺たちは終始無言だった。Bは、真剣な面構えで何か考えているようだった。
俺の自宅前に着くと、Bが、
「なあ、俺たち、とんでもないこと、しちゃったんじゃないか?」
俺は、まあそうなんだろうな、と曖昧に返事を返す
Bは、
「俺、これから、Aの家に行ってくる。お前はどうする?」
俺は、少し考えた後、首を振る。
そんな俺を見て、Bは不服そうに、
「お前、ちょっと薄情じゃないか?」
と、恨みがましい目を向ける。
もうこれ以上、俺たちがAに対して出来ることはない。そう俺はBに伝える。
「そうか。わかった。」

と、Bは恨みがましい眼差しを俺に向け言い放った後、俺の前から走り去って行った。
今、Aの親に会えば何を言われるか、わかったもんじゃない。
会いたくもない。
俺は、そんな事を考えながら、自宅のドアを閉めた。

あの夜から幾日か過ぎた。
俺の身の回りには何も起こらず、あの夜の事は夢だったんじゃないかと起き始めた頃。
Bから電話があった。
「相談したいことがあるんだ。」
そうBに告げられた俺は、Bの家に向かう。
インターホンを鳴らし、玄関に顔を出したBを見て、俺は驚く。
逞しかったBの体は、すっかり痩せこけ、顔色も悪く眼窩も窪み、目は血走っていた。
数日で30年分も老いたような豹変ぶりだった。

その姿は、まるで…。
唖然とする俺に、幽鬼のようなBは力なく言葉を発する。
「俺は、呪われた」と。

俺はBの家に入る。
Bに自宅は、六畳二間の安アパートだ。
何度も出入りしたことがある。
しかし、家に足を入れた瞬間。俺は驚く。
部屋の中は薄暗く、たいして大きくもない窓はシーツで塞がれ、明かりが殆ど入ってこない。
まるで夜のようだった。
以前に入った時は、部屋の壁には水着のアイドルの大型ポスターが何枚か貼ってあったのを覚えているが、今はそのポスターも全て剥がされている。
散乱しているゴミを踏まないようにしながら、俺が部屋の中央にあるテーブルの横に腰を降ろす。
俺に向かい合って座るBが、あの夜のことをボソボソと語り始めた。

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