最初の方こそ両親も「芽なんて出ないんだから」「やめておけ」「時間の無駄だ」と軽く扱ってきたのだが、何日か経ってから土の表面にぴょこっと小さな芽が出てくれた。
私は大喜びで毎日世話をしていたし、両親も芽が出た以上は育つかもしれないと応援してくれた。
そのうち近所の人にも私が枝豆を育てていることを知られるようになり、応援してくれる人もいればからかってくる人も居たが、私は何を言われようが気にしない。
特に近所のお寺の住職さんもニコニコの笑顔で見てくれている。
順調に成長していった枝豆はとうとう収穫時期を迎えることになった。
そんなある日のことだった。
台風が村を襲ったのだ。
私は枝豆が心配になったが、風雨が強すぎたことで家の外に出るなと言われてしまった。
ガタガタと家が大きな音を立て、窓ガラスも割れそうなくらい揺れている。
こんな状況で枝豆は耐えてくれるだろうか?
その日の夜は枝豆のことが気がかりだったが、どうすることも出来ずに眠れない夜を過ごした。
次の日の朝、おそるおそる枝豆の元へ行くと・・・枝豆が1本たりともなくなっていたのだった。
え、うそ・・・。
私の枝豆がない・・・。
どうして・・・。
私は半泣きになりながら両親に枝豆が消えたことを一生懸命説明した。
両親は眉をひそめてこう言った。
「あのね、昨日の台風は凄かったでしょ?」
「たぶん嵐のせいでどこかに吹き飛ばされたんだよ」
「台風は家だって潰してしまうくらい強いものなんだから、枝豆が行方不明になっても仕方ないよ」
そう言われても私は納得できなかった。
悲しかった。
あんなに大事に育てていたというのに。
私の枝豆よ、一体どこに行ってしまったの?
数日間ずっと落ち込んでしまった。
私が落ち込んでいることを知ったお寺の住職さんが枝豆を茹でて持ってきてくれた。
両親はお礼を言い、私は悲しい気持ちを抑えながら枝豆を口に入れる。






















ドライブ中にコンビニでよく枝豆を買います。普段ポイ捨てなどは絶対にしないのですが枝豆の殻だけは捨てても良いと何故か思ってポイ捨てしてます。