(なんなんだこの人・・)と戸惑ったが、
老人が手に持っているものに気が付いた。
魚取り用の棒網のようなものだった。
長さ2m以上はありそうな細い竹の棒の先に袋状になった網がついている。
(・・・・用水路の魚を取ろうとしていたのか?)
怪我とか病気で動けないわけではないらしい。
モヤモヤした気分になったが、それ以上ここにいてもなにも進展しそうにない。
釈然としない気持ちで、動こうともしない老人をおいて
自転車に乗り直しその場を去ることにした。
だがやはり走りながら「なんだったんだよあれ」と考えてしまった。
そしてだんだんと疑問が沸いてきた。
あの場所・・・魚なんかとれないだろ?
そもそも魚がいそうな用水路ではない。
それに用水路の周囲は人や物が転落したりしないように
かなりしっかりと金網柵で囲われている。
棒網を用水路へ突っ込む隙間なんかありそうにない。
(もしかして金網を広範囲に破ったりしていたのかな・・・)
などと想像してしまった。
そして数時間後、所要を済ませ帰路についた私は、
いやもおうもなくあの橋の場所に戻ってきた。
どうせだから何かわかるかも、と周辺を確認した。
当然だが老人は姿を消していた。
周辺の金網は、とくに穴のあいているところもなかった。
他にも、棒網を突っ込めるような個所は全く無かった。
(ホント、あの老人はなにをしていたんだ?)
という疑問がさらに強くなった。
そして私は、気になるものをみつけてしまった。
橋と舗装路との交差点付近で、道の隅に散らばっている細かい破片。
金属だったりプラスチックだったりガラスだったり。
恐らくは自転車とかバイクとかの、ウインカーやミラーなどの破片。
最近のものではない感じだったが、過去にこの場所で起った
自転車とかバイクとかの事故の痕跡なのだろう。
その考えに至ったとき、さらに怖い想像が頭に沸いた。























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