用水路沿いの道
投稿者:GENGO (32)
(なんなんだこの人・・)と戸惑ったが、
老人が手に持っているものに気が付いた。
魚取り用の棒網のようなものだった。
長さ2m以上はありそうな細い竹の棒の先に袋状になった網がついている。
(・・・・用水路の魚を取ろうとしていたのか?)
怪我とか病気で動けないわけではないらしい。
モヤモヤした気分になったが、それ以上ここにいてもなにも進展しそうにない。
釈然としない気持ちで、動こうともしない老人をおいて
自転車に乗り直しその場を去ることにした。
だがやはり走りながら「なんだったんだよあれ」と考えてしまった。
そしてだんだんと疑問が沸いてきた。
あの場所・・・魚なんかとれないだろ?
そもそも魚がいそうな用水路ではない。
それに用水路の周囲は人や物が転落したりしないように
かなりしっかりと金網柵で囲われている。
棒網を用水路へ突っ込む隙間なんかありそうにない。
(もしかして金網を広範囲に破ったりしていたのかな・・・)
などと想像してしまった。
そして数時間後、所要を済ませ帰路についた私は、
いやもおうもなくあの橋の場所に戻ってきた。
どうせだから何かわかるかも、と周辺を確認した。
当然だが老人は姿を消していた。
周辺の金網は、とくに穴のあいているところもなかった。
他にも、棒網を突っ込めるような個所は全く無かった。
(ホント、あの老人はなにをしていたんだ?)
という疑問がさらに強くなった。
そして私は、気になるものをみつけてしまった。
橋と舗装路との交差点付近で、道の隅に散らばっている細かい破片。
金属だったりプラスチックだったりガラスだったり。
恐らくは自転車とかバイクとかの、ウインカーやミラーなどの破片。
最近のものではない感じだったが、過去にこの場所で起った
自転車とかバイクとかの事故の痕跡なのだろう。
その考えに至ったとき、さらに怖い想像が頭に沸いた。
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