誰かのイタズラだろうか、あるものは首がなくあるものは腕がなく、すべてがまともなものがなく寂しげに雨に濡れていた。
すると、
「ヒッ!」
是枝の隣に立つ絢子が小さく悲鳴を上げながら、後退りする。
「どうした?」
両手で顔を覆う彼女の傍らに心配げに寄り添う是枝。
絢子は震える指で地蔵の方を指しながら、呟く。
「あそこの首のないお地蔵さん、、、
頭部だけ血まみれの女の人になってる」
驚いた是枝は彼女の指さす方に視線をやった。
だがそこには首や手足のない地蔵があるだけだ。
「ねぇ、もう帰ろうよ。」
怯えた様子で言う絢子に是枝は「ここまで来て帰れるかよ」と言う。
それからしばらく二人の間に気まずい沈黙が続いていた。
やがて渓流のせせらぎの音が彼らの耳に入ってくる。
ザーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
この音に重なり、ドドドド、、という滝の落下する音も聞こえてくる。
是枝は音に釣られるように歩き出した。
絢子も嫌々ながら後ろに従う。
※※※※※※※※※※
途中道は途切れちょっとした雑木林を抜けると、二人の視界に砂利に覆われた沢が広がった。
是枝が懐中電灯で前方を照らす。
沢向こうにある渓流の背後の岩肌には中程度の滝があり、ドウドウと水流を渓流に落としている。
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今後のご活躍を楽しみにしています
怖話の頃からの読者の方ですね
わざわざ来ていただき、ありがとうございます
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今後もあげていく予定ですので、また時間のある時とかに読んでいただくと、光栄です
━ねこじろう
めっちゃ怖くて面白い
怖がってもらえ、光栄です
─ねこじろう