さらば 事故物件に住んでた時の話
投稿者:ジョンガリ (8)
その最中急にインターホンの音が聞こえた。
俺らはまるで録画の停止ボタンを押したかの様に動きを止めてお互いに顔を見合わせた。
どう考えてもマトモな来客ではないのはわかっていたため、三人で示し会わせるでもなく無視して発掘作業を続けた。
無視していると、今度はドアをカリカリカリカリカリカリと微かに引っ掻くような音がしだした。
俺たちは見つけた酒升に久保田を注ぎ、溶けきらない程の塩を加えてカルーアのマドラーでそれを混ぜた。
その間も扉を引っ掻くような音は鳴りやまず、窓を叩くような音もオマケされたが俺は二人に気のせいだと笑顔で告げた。
完全に根拠の無い気休めだし、俺自身メチャクチャ恐怖していたのだが、AとBは少しホッとした顔をしていて、それを見た俺も救われていたのだった。
清めの酒(自作)を飲ませるための算段を三人でつけている時に、Aの電話が鳴った。
Aは鳴った電話を反射的に取ろうとしたため、俺は「出ないほうがいい」と告げた。
その時電話の着信音は途切れた。
電話を取ろうとした体勢のまま固まっていたAから携帯をひったくり、パスワードを入力して着信履歴を見ると、やはりというか今 電話がかかってきたという履歴は見つからなかった。
AとBの尊敬の眼差しに隠しきれないどや顔で返した後、俺はトイレまでのルートを確保し、AとBにOを押さえつけさせ、イーっとした口を無理矢理こじ開けさせて、塩の溶けた日本酒を飲ませた。
俺は昔ドラマで、食塩水を飲ませて胃の中の毒を吐き出させるシーンを見ていたため、俺とAとBの三人で協力してOをトイレまで運び、Oに胃の中身を出させた。
塩分濃度が濃かったためトイレの水が白濁したのだがその水面に、例えるなら墨汁を1滴垂らした様に黒い何かが じわぁっと広がり、水に溶けて薄まり、遂には見えなくなっていった。
口のまわりをタオルで拭い、再びOを寝袋の上に寝かせたのだがOはいつの間にか気を失っていた。
Oはなかなか起きなかった。AとBが心配そうな顔をしていて、救急車を呼ぼうという話になった。
俺は、逆効果かもしれないが試したいことがあるからちょっとだけ待てと言い、久保田の一升瓶をOの口に突っ込み、酒をジャブジャブと注ぎ込んだ。
Oはカッと目を開き、ゲホゲホと咳をしながら上体を起こした。
気管に入ってしまったのか、Oは涙目になりながらゲホゲホとしていて、一通り咳き込んだ後「ここどこっすか?」と素っ頓狂な事を言い出したため、緊張からの緩和からか俺たちは堪えきれず爆笑していた。
その後は、やはりと言うかなんと言うかいつも通り飲み会になり、俺は大切に、本当に大切にゆっくり少しずつ飲もうと思っていた久保田を半ばヤケクソ気味に三人に振る舞い、俺たちは大いに笑い、飲みあったのだった。
俺は、Oはもしかしたら狐に取り憑かれていたのではないかと考えていたため、夜食としてコンビニで買ってきたどん兵衛を作り、俺とAとBは油揚げをお供え物だと言ってOに押し付けたのだった。
Oは疲れていたのか飲みもそこそこにすぐに寝てしまったので、俺たち三人で飲み会を続行した。
色んな事があったよな、といつしか三人の思い出話で盛り上がっていた。
なんとなくしんみりしたムードになってきてしまったため、三人とも泣かないようにと いつもよりハシャいでいた記憶がある。
俺は、それでもどうしても言いたくなって、地元に戻ったらもうお前らとはオバケ見に行けなくなる、もしこれからも続けるならお前ら二人がしっかりしろよ。Oの面倒をちゃんと見るんだぜと告げた。
俺たち三人の中で一番始めに泣き始めたのはBだった。
Bは口が達者だがクールでカッコいい奴だったので、そのBが泣き始めたことに俺はとても驚いた。
面白かった
待ってました!
もう投稿されないのかな…と思っていたのですごく嬉しい、そしてやっぱり面白い!
投稿者です。
いつも読んでくださってどうもありがとうございます!
それとお待たせして申し訳ないです。
大学生ジョンガリの話は、あぶない刑事のサブタイのストック終了に伴い、区切りがいいので一応終わりですが次は高校生ジョンガリの話でも少し書きます。
高校生の頃の話はあんまりないので、思い出したらぼちぼち書いてきます。
重ねて、いつも読んでくださって本当にありがとうございました!