さらば 事故物件に住んでた時の話
投稿者:ジョンガリ (8)
俺は、Oは体調でも崩したのか?と思いながらさらに聞き耳をたてていると、なにか得体の知れない違和感を感じた。
目を閉じてさらに集中して聞いていると、木々のざわめきの中に別の声が混ざっている事に気がついた。
木々のざわめきの中にある 誰か の声は三つの単語を繰り返していた。
「ケンゴ ユウスケ チヒロ 」
全て仮名だが、それは紛れもなくAとBとOの名前だった。
気のせいだ と思ったが、やはりそう聞こえてしまう…俺は怖くなり携帯を持つ手が震えるのがわかった。
Bが電話口に戻ってきて、「Oがやばいっす!!」と俺に言ってきた。
Bの声を聞いて少しだけ落ち着きを取り戻した俺は、声の震えをかき消すかのような大きな声で「早く戻って来いバカ!」と言った。
返事が無かった。
電話の奥でAとBが、Oに大丈夫か!しっかりしろ!と叫んでいる声が聞こえた。
俺はもう一度Bに帰ってこいと大声で告げると、Bは再び電話口に戻ってきて震える声で「わか…わかりました…!」と言って電話を切った。
Bが電話を切る時、俺はガサガサという音の中に
「 ジョンガリ 」
という声を聞いた。
俺は聞き間違えだと自分に言い聞かせたが、名前がバレてしまった という疑念を拭えなかった。
俺は今までにないほど激烈にMAXビビっていたのだが、塩が必要になるだろうと思ってコンビニに向かい、一キロの袋塩とその他細々としたものを買って部屋に戻った。
コンビニでこんな事が起こっている事を何も知らないであろうベトナム人の顔を見れた事で、俺はある程度落ち着きを取り戻していた。
AとBは予告もなく勝手に部屋に入ってくるので、玄関に作った盛り塩が効果が無くなる事を危惧した俺は、柄にも無く鍵を閉めて待っていた。
鍵が空いていると思っていたのか、奴らはドアノブをガチャガチャ回しながら「ジョンガリさん開けてください!」と叫んでいた。
俺は鍵を開けてAたち三人に塩をふりかけた後、三人を部屋に招き入れて部屋の鍵を閉めた。
AとBに抱えられていたOは、目をギョロギョロさせ歯を食い縛り、イーっとした表情で口から泡を吹いていた。
汗だくのAとBは「ジョンガリさん!これどうしましょう!」とテンパりながら俺に告げてきた。
俺はBにOを横にさせるよう指示し、Aにタオルを渡してOの口の回りを拭かせた。
Oは「んーーー!!」と唸りながら天井を睨んでいて、AとBはOの体を揺らしたり頬を叩いたりしていた。
俺は、勿体ないけどしゃあないか…と思いながら玄関に向かい、靴箱の奥から久保田の桐箱を取り出した。
俺はAとBと三人で、荷物詰めした段ボールを全てひっくり返し、小田原城で買った酒升を探しだした。
面白かった
待ってました!
もう投稿されないのかな…と思っていたのですごく嬉しい、そしてやっぱり面白い!
投稿者です。
いつも読んでくださってどうもありがとうございます!
それとお待たせして申し訳ないです。
大学生ジョンガリの話は、あぶない刑事のサブタイのストック終了に伴い、区切りがいいので一応終わりですが次は高校生ジョンガリの話でも少し書きます。
高校生の頃の話はあんまりないので、思い出したらぼちぼち書いてきます。
重ねて、いつも読んでくださって本当にありがとうございました!