さらば 事故物件に住んでた時の話
投稿者:ジョンガリ (8)
俺としても行きたかったのだが、引っ越しなどを控えたタイミングだったのでフットワークが重くなっていたため、結局は俺抜きの三人で行くことになっていた。
三人が出ていってから約三時間後、俺はやっぱり寝袋の上で漫画を読んでいたのだった。
三日前が粗大ごみの日で、この日を逃すと捨てれるタイミングが無かったため、俺は三日前から寝袋で寝ていた。
寝心地の悪さから背中が痛くなり、目にじんわりと疲れが溜まった頃、そういやあいつらどうしたかなと思って携帯を覗いてみたら、Bから埼玉のH神社についたという連絡が入っていた。
東京のめぼしい心霊スポットに行き尽くした俺らは、住んでる場所が埼玉寄りという事も相まって遂には埼玉にまで行動範囲を広げていたのだったのだが、今回の目的地のH神社はオカルトマニアにもそこそこ名の知れた場所だったので、俺は遅れながらも少し興味が出てきていた。
どれ、そろそろ引っ越しの準備を再開するかなと思った矢先、再びBからLINEが入った。
Bによると、LINEを送る少し前にBの親から借りた車を近くに止め、少し歩いてようやく神社に着いたらしいのだが、その鳥居の前の階段に狐が鎮座していたとのことであった。
珍しく思ったBは写真を撮り、その画像を俺に送ると文章でのたまっていた。
俺は写真をタップし、画像を拡大表示させた。
たしかに、夜で明かりがないため解像度はあまり良くないが遠巻きに見える鳥居の前の階段には何か小動物のようなものが写っていた。
俺にはそれが狐かどうか判別出来なかったが、当人たちが言うならそれは狐なのだろう。
ただ、それがマズかった。なぜならそのH神社は狐を祀る神社で、しかもあまり良い謂れでは無かったからだ。
狐を祀る神社で鳥居の前に狐が出てきた。文にするとそれだけの事なのだが、これには二通りの読み方が出来る。
入っておいで という歓迎、もしくは入るな という警告だ。
入るなという警告ならまだ分かりやすくていいが、深夜に訪れた無頼漢どもを歓迎するような懐の深い神が、気に入った人間をうつし世に留めておくか?と問われても、俺にはどうにもその様には思えなかった。
とにかくどちらにしても決していい兆候には思えず、俺は落ち着くために目を閉じて深く息を吸った。
目を閉じたときに、なぜか翁の面が頭によぎった。翁の面は優しく、そして不気味に微笑んでいた。
意を決して俺はBに電話をかけた。Bはすぐに出た。
開口一番に「あ、ジョンガリさん 写真見ましたか?」とBが明るい声で俺に言ってきた。
俺はBと二言三言会話し、危ないかもしれないと軽く警告した。
Bと会話していると電話の奥からAとOのはしゃいでいる声と木々のざわざわという音が聞こえてきて、賑やかな印象を得た。
結構楽しそうだし、漫画読んでるくらいなら俺も行けば良かったなと軽く後悔している時に、俺はふと、神社はその神格以上のものが来ると木々を揺らして警告するという話を思い出したのだった。
俺は少し恐ろしい気持ちになったが、何てことはないという声色でBに「風は結構吹いてるのか?」と問うてみた。
Bは俺の求めていた解答はしてくれなかった。
ぶわっと鳥肌がたち、Bに帰ってこいよと言うと、電話の向こうでBが「ちょっと待ってください…」と言い、なにやら携帯を顔から離してAと会話しているのか、Bの声が遠くになった。
俺は木々のざわめきを掻き分けてAとBの会話に耳をそばだてた。
どうやら連れのOを心配しているような内容だった。
面白かった
待ってました!
もう投稿されないのかな…と思っていたのですごく嬉しい、そしてやっぱり面白い!
投稿者です。
いつも読んでくださってどうもありがとうございます!
それとお待たせして申し訳ないです。
大学生ジョンガリの話は、あぶない刑事のサブタイのストック終了に伴い、区切りがいいので一応終わりですが次は高校生ジョンガリの話でも少し書きます。
高校生の頃の話はあんまりないので、思い出したらぼちぼち書いてきます。
重ねて、いつも読んでくださって本当にありがとうございました!