それからどれ程の時が過ぎた頃か、さとるは奇妙な夢にうなされて目覚めた。
どうやらテーブルに突っ伏して寝ていたようだ。
二日酔い特有の不快な気分を感じつつも、彼は辺りを見渡してみる。
そして愕然とした。
視界に入ったのは荒れ果てた室内。
天井のあちこちから垂れ下がるコード。
何個かのテーブルは壊れたり倒れたりしていて、床のカーペットも汚れてぼろぼろだ。
━え、、これはどういうことだ?
昨晩のあの集いは夢だったのか?
いや違う
さとるの目の前には飲みかけのグラスと瓶ビールがあった。
立ち上がりふらふらと室を出て相変わらず無人の受付カウンター前を通りすぎてから靴を履き入口ドアを押す。
すると強烈なセミの鳴き声と朝のまぶしい日差しが一気に襲ってきた。
それからタクシーを呼ぼうとジャケットのポケットから携帯を取り出そうとすると、一枚の紙がハラリと落ちる。
彼はそれをポケットに入れると、改めて電話をした。
※※※※※※※※※※
タクシーは意外に早く来てくれた。
ホテル敷地に入ってきてからエントランスに横付けすると、後部ドアを開く。
行き先を運転手の横顔に告げるとさとるはシートに深々ともたれ、一つ大きなため息をついた。
だがそれからしばらく経ってもタクシーは動きださない。
それどころか左側のドアも開いたままだ。
「運転手さん、どうしたの?
早く行ってよ」
二日酔いの不快さからさとるは少しイラつきながら運転手に言う。
すると運転手はチラリと彼の顔を見てから、こう言った。























なぜ草なんだろう?
草葉の陰からという言葉にもあるように、
草というのは、冥界をさす言葉でもあるようです。
─ねこじろう