お前が長らくここに出席してなかったのは、彼女に合わす顔がなかったからなのでは?と皆で噂してたんだけどな。
まあとにかく今日はよく来てくれたな。
けどお前帰り際に葉山から刺されないように気をつけろよ。
俺もだけどな。
いや、二人ともすでに死んでるから問題ないってか」
そう言ってから首長の男はさも可笑しそうに笑った。
━既に死んでるって、、、
いったい、ここは?、、、
この辺りからさとるの腰から上に向かってじわじわと寒気がよじ登りだした。
喉裏に激しい心臓の拍動を感じる。
すると
「もしかしたら秋山か?」
さとるの隣にまた男が座ってきた。
彼はそいつの顔を一目見たとたん、ゾワリと背筋が凍りつく。
まるで酷いヤケドを負ったかのようにただれ、あちこちケロイド状になっていた。
「久しぶりだなあ」と、落ち窪んだ2つの目をギョロギョロさせながら瓶ビールを差し出す。
男は、
かつて事業を起こしたが失敗し、にっちもさっちもいかなくなり自宅に火をつけたということを自嘲気味に話した。
さとるはこの矢継ぎ早の不条理な恐怖に耐えきれず、次々ビールをあおっていった。
それからどれくらいが経っただろうか。
酔いが廻り少し朦朧としだした頃だ。
※※※※※※※※※※
沸き上がった会場のどよめきでさとるは、はっと正気に戻った。
ふと前方を見ると室内奥の雛壇中央にでっぷり肥えたスーツ姿をした初老の男が立っている。
さっき隣に座った男が、さとるに耳打ちする。
「憶えてるか?
あれ、お前がよくからかっていた担任の福島だ。
何年か前に老衰で亡くなったけどな。























なぜ草なんだろう?
草葉の陰からという言葉にもあるように、
草というのは、冥界をさす言葉でもあるようです。
─ねこじろう