「どうして。どうして。Y子ちゃんに会いたい。お家に行かせて。」
「もうY子ちゃんはいないわ。行っても無駄よ。」
いつまでも泣き叫ぶ私に手を焼く母に、祖母は、
「お母さん。あなたが、一緒に行ってあげなさい。事実を知れば納得するでしょう。」
と。
母は、静かに頷きました。
母に手を引かれながらも、逸る気持ちを抑えきれなかった私は、稲荷神社の鳥居をくぐらず、Y子ちゃんご一家が通っていた道を歩きたいと言い張りました。
母は、首を小さく左右に振り、
「よーく見てご覧なさい。道なんてどこにもないわ。」
と言いました。
確かに、そこは、辺り一面私の背丈ほどに伸びた雑草が生い茂り、足の踏み場などどこにもありませんでした。
「こちらの道を行きましょう。」
私は、渋々、母の言葉に従い、鳥居をくぐり、稲荷神社の境内を抜け、Y子ちゃんのお家へ行くことにしました。
お家のあった場所に辿り着き、私は、呆然とその場に立ちすくんでしまいました。
(どういうこと。)
神社境内を抜けた先にあったのは、ボロボロに朽ち果てた廃墟同然の古民家でした。
もう数十年も誰も住んでいないかのような荒れ具合でした。
「ここが、Y子ちゃんのお家があったところよ。」
「嘘、嘘。嘘。もっと立派で、もっと広くて。お馬さんや鶏がたくさんいて。玄関は、こっちにあったの。」
母の手を引き、神社とは反対側にあった玄関へと駆け寄る私の目に飛び込んできたのは、低い板塀に寄り掛かるように立っている三体のお地蔵様と、その傍らに、ひっそりと存在する小さな祠でした。祠の中には、小さく切った布を何枚も身に纏ったお人形が二体、大切に祀られていました。
二体のお人形は、どちらも木で出来ており、一体は女の人、もう一体は、馬の顔をしていました。
私は、この時になって、やっと、この二体の神様が、Y子ちゃんが話していた「おしら様」なのだと気づきました。
あの日、私が節穴から視た 宙を楽しそうに舞う二体のお人形。
原因不明の高熱で苦しんでいた私の前に顕れた女の人と、その横に立つ黒いたてがみの輝くように美しい駿馬は、まさしく、この「神様」だったのだと。
「Y子ちゃんは。Y子ちゃんは。どこ、どこ、どこ。Y子ちゃんに会いたい。会って、お詫びとお礼を言いたい。」
母は、目に涙をいっぱい浮かべ、思わず私を抱き寄せました。
「そうね。そうね。あなたにだけは、視えていたのよね。Y子ちゃんは、あなたにとって、大切な大切な たったひとりのお友達だったんですものね。」
その時になって初めて、真実を知った私は、母の首に抱きつき号泣しました。

























怖い
すみません。作者から一言お詫びを申し上げます。一度、アップしましたが、読み直してみると誤字脱字、表現の誤りが多く、一部もしくは数か所訂正させていただきました。再アップいたします。
ご笑覧いただけましたら幸に存じます。
貴重な体験でしたね。
怖いというよりちょっと感動した。
すみません
一時間後の後が語になってましたよ
あと面白かったです
*作者より
長編、しかもかなりひと世代前のお話。月の後半に投稿したにも関わらず、こんなに多くの方に読んでいただけるなんて恐悦至極にございます。
何度か手直しさせていただきましたこと、ところどころわかりにくかった箇所や読みにくい箇所など申し訳ございませんでした。今後、精進してまいりますので、お許しいただきたく存じます。
先月後半は、皆様のコメントに支えられ、励まされ、また筆を執ってみようかなと思いも新たにすることが出来ました。
心より感謝申し上げます。
お読みいただいた皆様ありがとうございました。
あまり閲覧されないようでしたら、筆を折る覚悟でいました。
でも、心機一転。新たな気持で新たなペンネームでこれからも書き続けたいと思います。
遅筆ではございますが、投稿した暁には、ご笑覧いただけましたら幸いに存じます。
<一時間後の後が語になってましたよ
大変申し訳ございませんでした。ご指摘ありがとうございます。
早急に訂正いたします。はて?どのあたりだったでしょうか・・・。^^; 今から、探します。
誤字脱字、入力ミスに変換ミスは、何年経っても治りませんね。これは、年齢と言うよりは、性格的なものかもしれません。これからは、極力そのようなことのないように慎重に投稿いたします。
また、間違いがありましたら、いつでもご指摘くださいませ。
<あと面白かったです
嬉しいお言葉感謝いたします。
これからも、精進してまいりますので、よろしくお願いいたします。
ご指摘いただきました箇所、1時間語→1時間後に 訂正いたしました。
ありがとうございました。