再び車内の空気が凍りつく。
「まあ以前から家内が浮気していることには薄々気付いていたんですがね。
さらに昨晩驚くことが分かったんです。
それは二人の老後のためにと積み立てていた預金を全て、あのバカ野郎が使い込んでいたんですよ。
どうやら男に貢いでいたみたいで、、、
これには私もカアッとなってね。
口論の末バットで思い切りぶん殴ってやりましたよ。
そりゃあもう、顔が潰れて血で真っ赤になるくらいまでね。
それから朝まで家内の遺体と一緒にいて、そのまま仕事に出かけたという次第なんです」
「じ、、自首しないんですか?」
「もちろんそれも考えました。
でもこのまま自首して起訴されても、恐らく死刑にはならない。
だったら自分で自分を始末しようと思ったんですわ」
運転手の突然の言葉に、すでに笹井の酔いは完全に覚めきっていた。
彼は喉裏に激しい動悸を感じながら、運転手に尋ねる。
「運転手さん、あんたの大変な事情はよく分かった。
でも何で俺が道連れにならないといけないんだ?」
運転手はちらりと笹井の方を見てニヤリと不気味に微笑み、
「至極ごもっともなご意見です」と言うとまたフロントガラスに向き直り口を開いた。
「正直誰でも良かったんです。
とにかく本日17人めのお客さんと一緒に死のうと決めていたんです」
「17人め?」
「はい。
昨晩家内が血まみれでぐったりなった時、ふと時計を見ると時刻は1時7分でした。
そして本日が1月7日。
おまけに奇しくも今日は私の誕生日でもある。
このおかしな偶然の一致でこみ上げるものに耐えきれなかった私は、ゲタゲタと笑いだしたんです」
━こんなことあるのかよ!
今日は俺の誕生日でもある。






















怖すぎる。みちづれは、やめてくれ。
コメントありがとうございます。
━ねこじろう
どういう意味ですか
どうして知ってるの?
迷惑すぎる
コメントありがとうございます─ねこじろう