笹井がショックを受けていると、運転手はさらに続けた。
「その時です。
ゾクリと背中に気配を感じ振り返ると、部屋の片隅に奇妙な黒い人影が突っ立っているのに気付いたんです。
私は直感でそいつが何者か分かりました。
すると地の底から湧いてくるような低い声が聞こえてきたんです。
━今日お前が乗せる17人めの者をこっちに連れてこい。
そしたらお前はもう一度この世に生を受けることが出来、今度こそは幸せな人生を送れるだろう。
「そこで私決めたんです。
本日17人めの乗客の方と一緒に死のうとね。
お客さん、それがあなただったんですよ」
車内を重々しい静寂が包み込む。
━何を言ってるんだ、この男は?
いったいどこまでが本気の話なんだ?
笹井は混乱した頭で運転手に問う。
「死ぬって、、どうやって?」
運転手はフロントガラスの方を向いたまま、口を開く。
「なあに、簡単なことですよ。
例えば今この車は片側一車線の国道を北へと走っている。
時速は約63キロ。
この辺は交通量も少ないせいか、走る車もスピードを出し気味だ。
そこで私はさらにグッとアクセルを踏み込んで、ちょうど反対車線にトラックとかが近づいてきた瞬間、右に思い切りハンドルを切ればいいんです。
ご存知かと思いますが、互いにスピードを出している車が正面衝突した時の衝撃といったら、そりゃあもうとてつもないものだ。
恐らくは二人とも一瞬で木っ端微塵でしょうな。
やってみましょうか?」
するとくぐもったエンジン音が響き、車はスピードを上げだす。
笹井の背中がドスンとシートに押し付けられた。
「わわわわ、、、
や、、止めろ!
頼む、止めてくれええ!」

























怖すぎる。みちづれは、やめてくれ。
コメントありがとうございます。
━ねこじろう
どういう意味ですか
どうして知ってるの?
迷惑すぎる
コメントありがとうございます─ねこじろう