白い手袋をした制服姿の運転手の横顔が、ぼうっと視界に入る。
運転手はルームミラー越しに彼を見ながら続けた。
「ああ、すみませんねえ。
ゆっくりなさってらしたのですね。
お客さん、会社員の方ですか?」
笹井が頷くと、運転手は続ける。
「良いですなあ。
私なんか若い時分からずっとドライバー稼業してて、今はしがない個人タクシーの運転手ですわ。
もし生まれ変われたら、私も会社勤めというやつをやりたいもんですな」
「いやいや、この仕事もいろいろ大変なんですよ」
笹井が言うと、運転手は何度か頷きながら
「そうでしょうそうでしょう」と言った後、
「実はね私、お客さんにどうしても言っておきたいことがありましてね」と意味深な感じで切り出す。
「なんでしょうか?」
と言って思わず笹井はキチンと座り直した。
「いや本当に身勝手なことで申し訳ないのですが、一緒に死んでくれませんか?」
「は?」
※※※※※※※※※※
一瞬で車内の空気が凍りついた。
「す、、すみません。
意味が分からないのですが」
彼はとちりなからも、運転手の無表情な横顔に向かって言う。
運転手は一瞬笑みを浮かべた後また真顔に戻ると、口を開いた。
「それはそうですよね。
こんなこと、ただのタクシー運転手からいきなり言われても意味不明ですよね。
まあ驚かしついでにもう一つ言うと、実は私、昨晩家内を殺しちゃったんです」
「え?」
この話は怖かったですか?
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怖すぎる。みちづれは、やめてくれ。
コメントありがとうございます。
━ねこじろう
どういう意味ですか
どうして知ってるの?
迷惑すぎる
コメントありがとうございます─ねこじろう