僕がまだ小学生だった頃
今となっては遠い記憶の話になります。
僕は3人兄妹の長男で弟と妹がいます。
一緒に暮らしていた家族は両親と、祖父母、更に曾祖母
の8人家族でした。
曾祖父もおりましたが数年前に他界しています。
当時、実家の敷地には住宅として母屋と隠居の他に
物置や蔵等がまだ建っていました。
物置や蔵は昭和初期位?に建てられたものの為、古びていて子供の頃は
なんとなく近寄りがたい雰囲気だったのを覚えています。
なんでも僕の先祖は武士の家系らしく、お墓参りに行く度に
ご先祖様の話を聞かされて育ちました。
『武士の家系なら刀とか物置に残っていたりしないかな?』
子供の頃の【好奇心】とか【恐怖心】というのは、大人になった今では
考えられないくらい強いものだったと思います。
両親や祖父母が物置に行く用事がある時には
よく一緒に着いて行きました。
この物置の入口は、扉の真ん中から左右に押して開けるようになっていて
とても大人の力じゃないと開けられない位に重い扉でした。
中に入ると土間になっており色々な物が雑多に置いてあるだけでしたが、
掃除もしていない為、埃やカビ臭い場所でした。
空気はひんやりとしていて子供にとっては凄く不気味な空間に感じました。
電気もつかない為、懐中電灯を持って行かなければ辺りを見渡せない程
昼間でも物置の中は凄く暗かったのを覚えています。
それと、この物置は2階建てになっており1階の扉から入ってすぐ左側が
小上がりになっていて、2階へと昇っていく階段があります。
昔の造りの為なのか階段は急で手すりがついており、
昇り切ると右側が2階の部屋の入口になっています。
『2階の部屋ってどんな風になっているのかな?』
『珍しい物でもあったりしないかな?』
すごく行ってみたいと思うようになり、ある日
「物置の2階に一緒に行って」と隠居にいる曾祖母に頼み込みました。
その日家族は全員出掛けていて、曾祖母と僕しかいませんでした。
「しょうがないねぇ」としぶしぶ一緒に行ってもらえる事になり
物置へと向かいます。
卵が多いー
扉が開かないのはこわすぎ、
こわくないよ