よし、サウナ行くか。
決して自慢出来る話では無いが、俺には人並外れた体脂肪がある。体重は軽く3桁はいってる。
つい先日、バイト先の気になる先輩に陰口言われてるのが聞こえて、ダイエットを決意した。
それでサウナである。短絡的と言われればそうかもしれない。
とりあえず歩くのは膝が死ぬからタクシー呼んだ。
もちろん親のカードで事前決済を済ませておいた。
「どちらまで?」
その問いにはサウナ。とだけ答えておいた。運転手はしばらく沈黙した後、車を発進させた。
10分ほど走り、どうぞ。と言われ降ろされる。目の前にはめちゃくちゃ寂れてボロっちい銭湯が出てきた。
おいおい、これは無いだろ。と運転手に言うと、運転手はただ一言、
「ここのサウナはね、特に暑いって評判なんですよ。」
とだけ言って走り去ってしまった。
おい!と吼えたものの、俺の声はただ夜の街に反響して消えた。
仕方なく銭湯に入り、受付でサウナ。とだけ言った。
レンタルタオルと鍵を渡され、ババアの店員に「500円」とだけ言われた。
安!と思い、不機嫌が吹き飛んだ俺は喜んで500円支払い、中に入る。
服を脱いで早速サウナへ。掛け湯?知らん知らん。
風呂に入る人はチラホラ居たが、サウナの中には誰も人がいなかった。好都合だ。好きに使える。
サウナはやっぱり暑い。過去に行ったサウナと比較しても、めちゃくちゃ暑い。というか苦しい。
でも、バイト先のサキさんのために、俺は死ぬ思いでサウナに居続けた。
本当に死にそうになってきて、外へ出ようとサウナの扉に手をかける。
開かない。重い。鍵など付いていないのに。
死に物狂いでタックルをかました。ほんの少しだけ動いた気がした。
外から誰かに押さえ付けられているようだ。
おおおおい!!!!やめろ!!開けろ!!と言いながら扉を叩き、何度も何度もタックルをかます俺。
しかしタックルすればするほどどんどん扉が重くなってくる。
俺はもう半狂乱になりながら扉を押し続けた。しかし、扉どんどん重くなる一方で、本当に死にそうだ。
叫び、タックルをかまし続けて、どんどん息が出来なくなってきた。サウナの中はさっきよりも暑く、皮膚が焼けそうだ。身体中の水分が全て奪われていく感覚を味わいながら、俺は気を失った。
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「サウナで痩せよう」って短絡的な考え自体が「バカさゆえの過ち」(ノд`)面倒な無理ゲーだが食事療法・運動・筋トレをNHKもすすめておった
引いたら開くのに押してたってオチかと思った