死神の副業 リクエスト通りの走馬灯
投稿者:グレートリング (2)
短編
2025/01/26
06:59
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『ご乗車ありがとうございます』
次の瞬間俺は人力車の座席に腰掛けていた。そして人力車を引いているのはあの時の雷神三郎だった。
『本当に死神だったんだな』
人力車は雲の中を走っていた。雲の切れ目から街の明かりが見える。
『ここは現世とあの世を結ぶハイウェイです。このまま進むと三途の川に出ます』
周りには他にも人力車がたくさん走っていた。
『あれは全部死神なのか?』
『八百万(やおよろず)の神だから一人のようでも無限にいるようでもあります』
人力車は脇道に入って行った。
『ここから走馬灯に入ります』
脇道の先に料金所のような建物がある。
『通行券を拝見します』
料金所の女性が俺に言った。なかなかの美人だ。
『蝋燭の絵を見せればいいのです』
『ああそうか』
死神の名刺なら囚人服の胸ポケットに入っている。俺が名刺を渡すと彼女は蝋燭の絵の上にスタンプを押した。
『それでは良い夢を』
女性から名刺を返されたときヒンヤリとした空気を感じたが気の所為だろうか?
『あの女も死神なのか?』
蝋燭の絵には『売約済み』と書かれたスタンプが押してあった。
『彼女は風神の娘で北風ちゃんと言います。本作での出番は今のシーンだけなので忘れても構いません』
死神はメタなセリフを言った
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投稿者のグレートリングです。
北風ちゃんの本名は『喜多村風子』通称はフウコ。今後の作品でレギュラーにする予定です。