やがて彼女が部屋を出る時間となり、気まずさを感じながらも服を着て、彼女を玄関口まで送り出す。
ドアの近くまでゆっくりと歩を進めていたが、ドアを開け外に出ようとしたとき、ふっとこちらを振り返った。そして、呟くように言った。
「あの写真を塗りつぶしたの、私なんだよね」
俺は正直、どのように言葉を繋げれば良いのか分からなかった。
「どうして?」と尋ねると一層変な空気になりそうだし、「そうなんだ」と返すのも変だ。そもそも、今なぜこんなことを言い出したのか、なぜそんなことをしたのか、訳が分からない。
俺が返答に迷っていると、彼女はやたら目を大きく見開き、口角だけをニィーっと上げて笑顔を作ってみせた。久々の彼女の笑顔だったが、それは初めて会ったときの好印象だったそれとは、似ても似つかない不気味なものだった。
「またね」
彼女はそれだけ言って去っていった。
あれ以来、俺はデリヘルを利用できずにいる。
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すごく不思議で面白かったです!この女の人はこの世の存在なのか…
オッソロシー!なのに評価が低い!!!(かなしい)