イリガミ
投稿者:四川獅門 (33)
上田さんは先輩と2人で軽トラに乗り、帰路につく途中、こんな話を聞いた。
「お前、犬神って知っとると?」
今日の現場は、業界では曰く付きの犬神を祀る神社だった。
過去に他の業者も入ったが、事故が多発し、長らく放置されていたらしい。
親方は報酬に目がくらみ、この現場を引き受けてしまった、という事だった。
翌日、怪我をした2人を除き、作業員達は「犬神落とし」のお祓いを受けた。
親方はその神社に、現場のお祓いも依頼した。
二、【犬神】
『 マジナヒ、こは物実を構えて、それにまじこり肖しめむと、のろひてする術、但しノロヒは凶からしむ方にのみするを此は吉凶ともにするなり』
伴信友 著 「方術考説」より
犬神とは、古来から西日本に広く分布する信仰の対象である。
その信仰の形跡は、日本の最南端の沖縄でも確認されている。
西日本各地で、近年においても根強い信仰が見られるそうだ。
特に狐のいない四国においては、犬神の本場であるとする見方もある。
一部地域では「イヌガミ」が訛り、
【イリガミ】
とも呼ぶ。
信奉者には富をもたらすが、敵対者には恐ろしい災いをもたらすとも云われる蟲術(こじゅつ)の一種である。
犬神は立派な呪詛であり、平安時代には既に犬神を用いた呪術に禁止令が出され、非常に恐れられていた。
犬神は神と言えど、人が儀式で創り出すモノである。
その儀式がまた、業が深い。
犬の体を地面に埋め、頭だけを地上に晒す。
犬の顔の前には、餌を置く。
これを犬が餓死する寸前まで続ける。
そして、飢餓が頂点に達した犬の首を切り落とす。
この時犬は、首だけでも餌に食らいつくそうだ。
これからの時代、守る人のいない神社も増えるしこういう話も近場にできそう
動物虐待にもほどがある…
文章がわかりやすい