西野さんが慌てて骨を拾い集め、箱に隠すように戻したのを横目で見た。
「撤去した物はほとんどが木製だったので、境内で焼却することになりました」
もちろんあの木箱も、である。
撤去作業が終わり、本格的に解体が始まった。
重機で解体をする前に、作業員が本殿の柱に鋸を入れる作業があった。
上田さんは西野さんにその作業を教えていた。
西野さんが上田さんの指示に従って、直径20cm程の細い柱に切込みを入れて豪快に蹴り、柱をへし折る。
「あぁぁぁ!!」
「どぎゃんしたと!?」
悲鳴を上げて西野さんが転倒した。
へし折れたのは、西野さんの足だった。
それは、頭蓋骨を踏み潰した右足だった。
彼は救急車で運ばれた。
「柱と云っても細いし、半分朽ちた木ですから、手でも簡単に折れたんです」
不可解な事故に作業員達は首を傾げた。
上田さんの脳裏にはあの木箱がよぎっていた。
上田さんは昼休憩を終え、現場へ戻ると、先輩が1人で解体した木材を焼却する作業をしていた。
先輩が木材を手に、フラフラと炎へ向かって歩いていく。
様子がおかしい。
顔はにやけ、ヨダレを垂らしている。
先輩は持っていた木材ごと炎の中へ入っていった。
「あっ!なんばしよると!!」
上田さんが慌てて先輩を引っ張ると、彼は正気を取り戻した。
「え!?あづい!あづい!!」
火がニッカポッカに燃え移り、先輩は足に重度の火傷を負った。
やはり右足の状態が悪かった。
彼もまた、救急車で運ばれた。
度重なる不可解な事故を見て、親方は作業の中止を決断した。
「あくしゃうつ事ばっかりたい(困ってしまうことばかりだ)」
上田さんはそう親方がぼやくのを聞いた。
これからの時代、守る人のいない神社も増えるしこういう話も近場にできそう
動物虐待にもほどがある…
文章がわかりやすい