イリガミ
投稿者:四川獅門 (33)
西野さんが慌てて骨を拾い集め、箱に隠すように戻したのを横目で見た。
「撤去した物はほとんどが木製だったので、境内で焼却することになりました」
もちろんあの木箱も、である。
撤去作業が終わり、本格的に解体が始まった。
重機で解体をする前に、作業員が本殿の柱に鋸を入れる作業があった。
上田さんは西野さんにその作業を教えていた。
西野さんが上田さんの指示に従って、直径20cm程の細い柱に切込みを入れて豪快に蹴り、柱をへし折る。
「あぁぁぁ!!」
「どぎゃんしたと!?」
悲鳴を上げて西野さんが転倒した。
へし折れたのは、西野さんの足だった。
それは、頭蓋骨を踏み潰した右足だった。
彼は救急車で運ばれた。
「柱と云っても細いし、半分朽ちた木ですから、手でも簡単に折れたんです」
不可解な事故に作業員達は首を傾げた。
上田さんの脳裏にはあの木箱がよぎっていた。
上田さんは昼休憩を終え、現場へ戻ると、先輩が1人で解体した木材を焼却する作業をしていた。
先輩が木材を手に、フラフラと炎へ向かって歩いていく。
様子がおかしい。
顔はにやけ、ヨダレを垂らしている。
先輩は持っていた木材ごと炎の中へ入っていった。
「あっ!なんばしよると!!」
上田さんが慌てて先輩を引っ張ると、彼は正気を取り戻した。
「え!?あづい!あづい!!」
火がニッカポッカに燃え移り、先輩は足に重度の火傷を負った。
やはり右足の状態が悪かった。
彼もまた、救急車で運ばれた。
度重なる不可解な事故を見て、親方は作業の中止を決断した。
「あくしゃうつ事ばっかりたい(困ってしまうことばかりだ)」
上田さんはそう親方がぼやくのを聞いた。
これからの時代、守る人のいない神社も増えるしこういう話も近場にできそう
動物虐待にもほどがある…
文章がわかりやすい