奇々怪々 お知らせ

ヒトコワ

たちさんによるヒトコワにまつわる怖い話の投稿です

バレンタイン
長編 2024/12/29 23:18 4,716view
3

それから就職をし、結婚、子宝にも恵まれ幸せな時間を過ごしていた。
しかし、幸せな時間は長くは続かず、妻との離婚を決め、私は引っ越しをすることになった。
引っ越し、転職を来月に控えた2月14日。
夜、帰宅すると自宅の前に1人の女性がいた。
その女性を見た瞬間に私は忘れていたオガワ ユリのことを思い出した。
立ち止まっている私を見つけた女性は近づいてきて、「あの、これどうぞ!」とチョコを差し出してきた。
私はチョコを受け取らず、
「オガワ ユリさんだね。なぜ私の家を知ってるんですか?なぜ、チョコを渡してくるのですか?」と今まで疑問に思っていたことを聞いてみた。
「どうぞ!」私の問いかけに答えず、チョコを差し出してくる。私は、「答えてください!」と強く言った。すると、差し出していた両腕を下げ、深いため息を一つ吐き、鋭い眼差しで私を見てこう言った。
「チッ、うるさいなー。いいから、受け取って!ほら!」
今まで見たことのない姿を目の当たりにして私は恐怖を感じた。

「何が目的だ?私の問いに答えないと受け取れないし、警察に通報する。」と私は恐怖心を押し殺しオガワ ユリに伝えた。すると、
「今までと同じように受けとってよ。私からのチョコ。」
先程とは違い落ち着いた感じでゆっくりと私に語りかけてきた。受け取らない私を見かねてオガワ ユリは無理矢理私の手を取り、チョコを渡してきた。私の手を取った、その手は異常に冷たかったのを覚えている。
そして、立ち去ろうとした瞬間に
「次で、チョコを渡すのは最後だね。」
そう言い残し、立ち去っていった。
受け取ったチョコを見つめ、幼い頃には感じなかった恐怖を感じながら自宅に入り、ゴミ箱にそっとチョコを捨てた。

それから、月日は経ち平凡な生活を送っていた私はオガワ ユリのことをすっかり忘れていた。
しかし、50才を過ぎた私に突然、その時は訪れた。
2月14日。
いつものように仕事を終え、帰宅すると自宅の前に女性が立っていた。

私は特に気にせず女性の前を通り過ぎようとした。すると、突然、
「これ、どうぞ」とチョコを差し出してきた。
私は一瞬、何が起きたか理解できなかった。
しかし、今日がバレンタインということを思い出し、更に過去の出来事を思い出した。
ゆっくり、女性の方を見て
「オガワ ユリか?」と言った。
軽く微笑み、
「はい。これでチョコを渡すのは最後になるはずです。今までありがとう。」
私は最後というワードに惹かれ、これで最後か。もう会うこともないのか。と思い込んでここは素直に受け取って終わらせようと思った。
何も言わずにチョコを受け取ると彼女はゆっくり振り返り立ち去っていった。
私は自宅に入り、これで終わりか。よかったーと安堵しチョコを食べずに捨てた。

2/3
コメント(3)
  • 女性怖いねその後もチョコレート渡しにくるのかナ🤔
    自分だったら怖いから素直に食べるかな

    2024/12/31/10:17
  • ↑毒入りじゃね

    2025/01/06/14:57
  • 「おかしいですね(食べたら死んでるはずなのに)。」ってことですかね(´・д・`)?

    2025/02/21/20:39

※コメントは承認制のため反映まで時間がかかる場合があります。

怖い話の人気キーワード

奇々怪々に投稿された怖い話の中から、特定のキーワードにまつわる怖い話をご覧いただけます。

気になるキーワードを探してお気に入りの怖い話を見つけてみてください。